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★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(3)

       『北米におけるCLT』

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製造量は?

CLTと言えば、欧州の建築物の例や工場がよく紹介されますが、北米にもCLTのメーカーとして製造を行っている工場が3社あります。他にも数社の工場建設計画がありCLTの建築への利用に向けての研究・設計が進められています。

その3工場の生産能力は、欧州に比べれば少ないのですが、カナダにおいては、州政府や連邦政府が、森林産業の構造転換に向かって実践的な計画を打ち立て支援を行っており、今後の増加が予想されています。

§  Others plants:

§CST Innovations, BC, Canada (pilot plant)

§Montana, U.S. (in planning)

§North Carolina, U.S. (in planning)

§Mississippi, U.S. (in planning)

APA(American Plywood Association) 技術部長 Dr. BJ の資料より(2012年)


技術・基準

製造を行っている3社は、全てカナダにあり、アメリカでは、まだ製造を行っていません。この3社は、構造用集成材やI-Joistに関して APAのメンバーであり、APAでの技術管理を行っている経緯より、CLTに関してもAPAを交えての技術開発が、行われてきました。

欧州で始まったCLTの製造・建築ですが、基準作りに関しては、すでにアメリカではANSI/APA・PRG・320-APAという基準が作成され、カナダの工場でもこの基準に準じた製造が行われ、優良建設資材として認められています。

さらに、基準書としては これも有名(?)な CLT-HandBookが、発刊されていて、これに準じて設計が出来るという基準書となっています。

このCLT HANDBOOKは、インターネットでダウンロードが可能です。

現在、日本で進められているいくつかの検討もこの本を参考としているものもあるようです。英語得意な方は 是非読んでみて下さい


具体的な理由のいくつか

カナダでは、森林産業の落ち込みに国として助力しているのも、もちろんその理由ですが、具体的な理由として、

1. 工期の短さ  

カナダ東海岸は大変冬が厳しく、コンクリートの養生もままならないほどで、建築工事は短い春~夏のうちに終わらせる必要があり、RC構造での大規模な建築は地域的にあまり向いていないが、CLTを用いれば、RCと同等の性能を持ちながらも、大型建築物を手早く簡単に組み立てることができる。(先ほど紹介した、Nordick Engineered woodは、カナダ東海岸にあります。)

2. マウンテンパインビートル  

温暖化により、従来は越冬できなかったマウンテンパインビートルという虫が越冬するようになり、木材が部分的に青く変色する虫害が大発生するようになった。部分的に青く変色した材は青変材と呼ばれ、構造的には問題ないものの、美しさに欠けるため意匠としては使われにくいが、この青変材を、通常は意匠としては使われないCLT(又は内層に使用)に用いることで、資源の有効利用と木材利用促進による炭素固定において環境面で有効とされる。

などが言われています・・・

森林産業の構造改善、国産材利用の目的の為や政府が主導している点などは、日本での事情に近いものとも思われます。


北米のCLT建築物

写真は全てインターネットからのダウンロード、前述 APAのDr.BJの資料

や日本CLT協会のセミナー用PPTからお借りしています。


この三枚の写真は、カナダ ブリティッシュ・コロンビア大学地球科学センターの写真です。

特に、宙に浮いた階段は有名ですね。





この3枚の写真はカナダ・ケベック州に建てられた建物です。
この3枚の写真はカナダ・ケベック州に建てられた建物です。


30階木造ビル計画 in バンクーバー

当社では、福岡大学稲田教授を会長とした「超高層ビルに木材を使用する研究会」に参加し、鉄骨構造のビルの床にCLTを利用しようと試験、検討を進めていますが

海外(今回はカナダの紹介ですが)では、GLT、CLTや木質材料で高層ビルを建てようという計画が有り、ビックリします。

この計画の設計担当者 マイケル・グリーン氏のカンファレンスの動画

「なぜ木材を使って高層ビルを建てるべきなのか」は、下のリンクで見られます。

(この動画は日本語訳がついています)

「都市木造が2020年の東京を未来へつなげる。」 

http://www.timberize.com/

ティンバライズ展が、9月5日~15日まで開催されていましたが、行かれた方も多いと思います。

どこか共通する意識を感じた動画でした。

 

日本にも一日も早く、こんな建物が建てられる日がくることを期待し、

まずは、高層ビルの床に木材を使えるように・・が、当社の目標です。

常務取締役技術本部長 塩﨑 征男