━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(26)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
北海道に行ってきました
先月も100kmウォークを兼ねて行ったばかりでしたが、再び今月も行く機会に恵まれました。学生時代を過ごした所ということや担当した物件が多くあるということもあり北海道というのは、私にとっては特別の場所という感が強く、機会があればいつでも行きたい場所のひとつかもしれません。(本籍も北海道に移したので 似非北海道人です)
今回は日本CLT協会の仕事と山佐木材の仕事(?)というか、以前にお付き合いをさせていただいた札幌の設計事務所様より遠く鹿児島へのご相談をいただいた物件のお話も兼ねての出張でした。山佐の話は置いておくとして、今回の話題は協会の仕事です。
2年前から継続されている「木造建築の新技術に関する協議会」への出席のためでした。
日本CLT協会のM氏が委員となっているのですが、代理として今回3回目の参加でした。
CLTというと「杉」が先行していますが、北日本、特に北海道では杉は少なく(渡島地域のみ)主たる樹種としては「唐松」「とどまつ」となります。CLTの法整備が杉を中心に検討がなされていた間も北海道では、旭川の林産試験場を中心に唐松CLTの強度試験を繰り返し、一日も早く唐松・とどまつの基準強度をと今も試験が続けられています。
高知県、岡山県や大分県などCLTの普及に向けた研究会等が活発なことは、皆さんよく聞かれると思いますが、北海道の活動も負けず劣らず活発な活動が続けられていて、一昨年には早々に「北見セミナーハウス」という唐松CLTを使用したCLTパネル工法による建設が行われたことは、記憶に新しいと思いますが、今年度の活動の中心となるのは、唐松・とどまつの強度試験と平行してモデルプランの作成と道産CLTの早期実用化に向けてビジョン作成と道内での製造検討を行うことだそうです。
7月の始め、こうした動きを反映してか、北海道の構造用集成材メーカーさんの協同組合オホーツクウッドピア様と株式会社物林様が、当社のCLT工場視察にお見えになりました。前日には、岡山県の銘建工業(株)の新工場の視察にも行かれたとのこと。(ハードなスケジュールですよね) 当社の工場の視察が少しでもお役に立てば良いと思います。
個人的な意見になりますが、やはり大規模な専用工場を建設するとなると大きな金額とリスクも持つことになると思います。まずは、今保有している機械設備などを利用して少ない予算で製造ができるようになりJAS認定を取得すること。そして製造可能な寸法で、どのようにして使っていくかを考えて使っていくこと。そこから普及していくのではないかな?とも考えています。よく言いますよね「鶏が先か?卵が先か?」って CLTの場合には、どちらも当てはまりそうなので余計に難しいのかもしれません。
※卵(製品・普及)が先なら 製品を他県から持ち込んで普及させるのも一つの考えです。
「χマーク」金物ってご存知ですか
「エックス」ではなく「クロス」と読みます。4月1日国交告第611号の施行によってCLTパネル工法がルート1,2,3によって建設ができるようになりましたが、接合金物をどうしたら良いかが大きな問題でした。
ルート2,3などの構造解析を要する建物は別として、軸組工法や枠組壁工法のようにCLTパネル工法にも比較的簡単に設計が出来るルート1という設計法が施行されており、そうするとZマーク・Cマークのような手に入り易い認定金物が必要と考えられるのですが、(公財)日本住宅・木材技術センター様においては、いち早くその検討を進めていただいていたようで、間もなく「χマーク」金物の認定受付が始められるということです。
今回課規格化される金物は、告示に記載されている終局耐力に対応しており、規格化される金物だけでルート1の設計法を採用すれば、3階建までを設計・建設ができるようになります。
一日も早く金物メーカー様の申請・認定によりこれらの金物が容易に入手できるようになることを期待しています。
CLT関連告示等解説書 講習会 追加開催
すでに、講習会は6月28日/東京、7月7日/大阪と14日/名古屋で開催されましたが、追加開催のご要望が多く 東京において9月1日に開催されることになりました。
7月27日より募集開始でしたが、多分このメルマガが出されている頃にはすでに満員締切となっているかもしれませんね。
前号でもお伝えしたように、この解説書は日本住宅・木材技術センター様のHPより購入が可能ですのでじっくり読んでいただければ 告示の内容については理解できると思います。
その後、10月を目標として更に詳細な説明を含めた「設計施工マニュアル」も発刊の準備中と聞いています。昨年までは「使う為の法整備」だった動きが、今年からは「こうして使う」といった運用へと変わってきた感じがします。楽しみですね。
ただ先にも書きましたが、他の樹種の基準強度を待ち望んでいる地域もありますので、これらの告示化も早く進んで欲しいものです。
ひとりごと
比較的 皆さんに読んでいただいているこのコーナーですが、近ごろ「これ!」と言ったニュースが少なくなってきており、今までは、立寄り回数の上位を占めていたのですが・・
先月より始まった新コーナー「みすず&あかねの工場探訪」これが早くも初回より高視聴率(?)を獲得していて、近々抜かれるのでは?と怯え(笑)ている 担当者でした。
常務取締役技術本部長 塩﨑 征男