渋柿会鹿屋支部
青字は読み方です。声に出して読んでみましょう。
分からない方は近くの鹿児島出身者に読んでもらいましょう!
(注)若い人は鹿児島出身者でもなかなか読めません
行っもせじ 地獄く見た如っ 語い坊主
いっもせじ じごくみたごっ かたいぼし
唱 閻魔様とな まっで友達
えんまさあとな まっでともだっ
津曲 とっこ
【解説】八月は御先祖への霊前供養の月。普通であれば我々俗人はお盆にお寺の
御住職様から有難い法話など承って、身も心も清々しい気分になる筈がこの御防、話の途中で
少し飛躍してしまい地獄も極楽も見聞して来たような話になり、「オヤ?」と狂句的に揶揄したところが
面白いと思います。
わが髪ち 言たで引張たや ひっ落れっ
わがかんち ゆたでそびたや ひっちゃれっ
唱 まさか鬘た 思めもし申さじ
まさかかつらた おめもしもさじ
平中 小紅
【解説】あなたの髪の毛は自分のものですか、と念のため聞いたらそうだとの返事だったので、少し引っ張ってみたら
思いもよらず髪が落下。慌てて被り直したその素早さに吃驚したものの後刻それを思い出すたびに笑いが止まらないと
面白可笑しく詠んだ句です。
嘘も嘘 借金だらけん 玉ん輿
うそもうそ おっかだらしん たまんこし
唱 家屋敷かずるっ 借金ん担保い
えやしかずるっ おっかんかたい
池上 黒じょか
【解説】世間の人々が羨む程の広い土地と豪邸。昔から大金持と言われた家から望まれて嫁入りしたものの、
いざ実態がわかってくると玉の輿どころか廃墟の館でありました。鹿児島では借金や負債のことを「おっか」、
担保のことを「かた」などと言ったりします。
★解説は渋柿会鹿屋支部の有川南北氏にいただきました。
★写真:山佐木材写真部