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★【西園顧問】木への想い~地方創生は国産材活用から(21)
「鴨池長水路沖堤防のウッドデッキ建設の提案」
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私はノルディック・ウォーク連盟鹿児島県支部の事務局も兼ねている事から、今年一年間、南日本新聞社の客員論説委員を委嘱された。私の今までの色々な職歴を参考にして、鹿児島の浮揚策になればと「論点」へ書かせてもらった。その中で、鹿児島県の景観造りと観光推進策と、健康増進と木材振興を同時に達成する提案として、「鴨池長水路沖堤防のウッドデッキ建設計画」も書き加えた。
先日、鹿児島市長との意見交換会の席で「観光景観造りと健康増進策として、桜島一周道路の拡幅を急ぎ歩行者用道路の安全整備と、そして鴨池長水路のウッドデッキ建設の実現を」と要請してみた。「それは面白い話だが、鴨池長水路は鹿児島県の管理施設だ。鹿児島県へ提案してみてはどうか」との回答だった。県職員等へも話してみたが、担当部所は複雑なようで交渉窓口先探しは容易ではない。
私は新知事とは全くコネクションが無いので、このメルマガに提案原稿案を書いて、県関係者や木材業界へ配布してみようと思った訳だ。
木材振興には「まずは市民が目に付き易い場所に、景観増進や健康維持等へ複合的に役立つ施設で大量の木材を使い建設する事」が木材の利用促進PRになり、更なる需要拡大へもつながる。木造住宅が少々余計に建てられても、市民から見れば「極当たり前の話」で、木材の新規需要拡大にはさして繋がらないし、大きな話題にもならない。
しかも今後の人口減少の激しい鹿児島県内では、木造住宅の建設振興策だけでは木材需要はジリ貧となるのは容易に想像出来る。木材利用拡大には新規の目立つ場所での用途開拓が何としても必要だと思う。
私の「鴨池長水路ウッドデッキ建設構想」の地は、桜島を望む錦江湾沿いの鹿児島県を代表する景勝地である。しかも与次郎地区は鹿児島県庁や南日本新聞社、鹿児島市民文化ホールやサンロイヤルホテル等と、県内の多くの人が集まり認知度の高い施設が数多く建っている場所でもある。その様な土地の一角に「珍しく大きな木造施設を造れば、必ずや注目度は絶大」であると思う。
皆さんも現地に立って周囲を見渡して貰えば納得されると思うが、鹿児島のトップクラスの景観地なのに、現状は粗い仕上りのコンクリート面がむき出し状況で、折角の景観を活かしていないどころか、逆に見苦しい仕上りで錦江湾の素晴らしい景観を壊しているとさえ思えてならない。
日曜日、たまにノルディック・ウォークに出掛けるが、ランニングやウォーキングを楽しんでいる人と必ず出会う。コンクリートの粗仕上げでは見た目も美しく無く、ランニングやウォーキングの人には硬くて使い難い路面でもある。それでも必ず出会う人が結構数居る事は、「桜島を眺めながら錦江湾沿いを歩き走る事が、雄大な風景を楽しみ心地良さを感じられるベストポジションだから」だと思う。桜島と錦江湾を活かした景観造りにウッドウッドデッキを設置するだけで、市民が何度でも使いたくなる美しい遊歩道路へと生まれ変わらせる事ができる。「鹿児島県は良い資源を生かし切れていない」と言われる事が多いが、ここも全く同じである。
私が昔訪ねたサンフランシスコ市の人気スポットだった「ピアモール」は、海に迫り出した大型のウッドデッキの上に造られていた。数百に及ぶレストランやファッションや日用品販売等、木材を多用した店舗がずらり並ぶ様は壮観で、市民の憩いの場所として賑わっていた。「日本でも同じ様な木材を活用した施設は造れないものか」と考えた事を思いだす。
また30年も昔になるが、鹿児島青年会議所が錦江湾沿いで開催した「ウォーターフロントフェスティバル」へサンフランシスコの経験を提案し、県産スギ材を利用した3,000㎡のウッドデッキ建設へ協力した事が有るが、来場客からはすこぶる好評だった。しかしその後の鹿児島県内の沿岸施設に採用される事は無く、公園内の小型物件程度しか造られなかった事は惜しまれる。(大型ウッドデッキでは横浜や博多が素晴しい。県内の小規模のウッドデッキでも設置施設を訪ねると、木材利用の良さが納得出来る。
諺に「足元を見よ」と有るが、当にウッドデッキが木材需要拡大には当にピッタリな忠告だと思う。)
鹿児島県は観光産業を今後の主要産業と位置付けているが、景観の質の向上には地元産木材の活用を期待したい。又国は「健康寿命の延伸は国民の幸福推進のためだけでなく、健康状態を最後まで維持する事が医療費や介護費用の節減にもつながる」と、重点政策として取り組んでいる。
そして地方振興には「公共建築物等木材利用促進法が法制化されているが、地場産材の活用は地場振興の即効薬であり、現在低迷している木材利用促進と山村振興には、何と言っても新規需要の実現が重要課題」なのである。
私の提案する鴨池長水路ウッドデッキ建設構想は、上記の諸課題を一気に解決する手段だと思うのだが、県関係者が耳を傾けてくれないのは、「もっと強く、シツコク、具体的に、幅広く」、私が行政関係者や木材関係者へ問い掛ける必要が有るのだろうと思った訳だ。
それが「山佐木材と関係が有るのか」と言われるかもしれないが、木材需要促進をリードしている山佐木材だからこそ、取組む意味が有ると考える。そして「新規の木材需要拡大に努力する事が、山佐木材の主業務分野である集成材建築や、非木造住宅分野での木材需要拡大へ期待の大きいCLT利用の拡大にもつながる。」と私は思う。だから傍観的な様子見よりも「ダメもと精神」でやってみようと考える訳だ。
私の鴨池長水路沖堤防のウッドデッキ建設構想へ、皆さんからの批判と更なる改善意見等を集めるために「大雑把な積算」をしてみた。皆さんの批判やアドバイスを参考にして、より現実的な鹿児島県への提案資料が出来上がる事を期待する。
鴨池長水路は、甲突川口から魚釣り公園まで約1,500mで、幅が約8mだから面積は12,000m2となる。
・ボードデッキ材料には、鹿児島県産スギ材で強度的にもコスト面からも適当と考えるが、
屋外使用だから加圧式防腐処理材の利用を推奨する。
・デッキ材は片面プレーナ仕上りの30mm厚を確保するためには33mm厚の製材品が必要で、
幅120mm材を隙間5mmで配置する。
・根太材は幅45又は60mmとし、高さ75mm材を使い50cmピッチに組む。
・土台材は105又は120mm角材を1mピッチで組み上げる。
補足材を5%として、合計約600m3の鹿児島県産スギ材の新需要が生まれる事になる。プレーナ加工費や防腐処理費を加えてm3当り@10万円と見れば、材料代は約6,000万円となる。
現在の堤防のコンクリート面の不陸補正施工費と組立大工施工手間を5,000万円と試算し、更に設計管理費用等を加えても、私の概算では13,000万円の予算化で実現可能と考える。
そして今後屋外での木材利用で条件化して貰いたいのは、加圧式防腐注入木材を使用しても、3~4年毎に定期的に油性防腐保護塗料で表面塗布処理して貰いたい。そうすれば美観も保てるし、耐久性も30年は十分に可能と考える。(想像以上に利用者が多くて、表面の摩耗問題が出て来れば、別対策が必要となるだろう。屋外木製品や雨がかり場所での木材使用には、定期的な保存処理が絶対必要条件なのに、今までは手抜きされてきた現状を行政の管理者は是非とも改善するべきである。人間だって定期的な健康診断と早期対策は重要なのだから同じ事である)
木材利用は自然環境を大切にする景観風景とマッチするし、特に「桜島を望み、錦江湾沿いをランニングで楽しめる場所」にウッドデッキを設置すれば、必ずや全国的にも話題となる。評判の良いランニングやウォーキング用のウッドデッキコース設置は、県民はもとより観光客にも気軽に運動を楽しめるコースが出来上がる。(車で各地を走り回る古い形の観光から、自分の足を使う健康的な観光のための環境整備こそ、「鹿児島らしい売り」になる」と考える。)
是非一度現地に立ち、ボードデッキが建設された状況をイメージして貰えば、早期の具体化を望まれると思う。管理者である鹿児島県が早速に検討され、ボードデッキ建設に取組まれる事を望む。新知事と木材関係者の前向きな行動に期待したい。
(西園)