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★役員からのメッセージ 常務取締役 塩﨑 征男
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温故知新
『「前に学んだことや昔の事柄をもう一度調べたり考えたりして、新たな道理や知識を見い出し自分のものとすること。古いものをたずね求めて新しい事柄を知る意から。▽「温」はたずね求める意。一説に、冷たいものをあたため直し味わう意とも。「故ふるきを温たずねて新あたらしきを知しる」または「故ふるきを温あたためて新あたらしきを知しる」と訓読する。』 論語からの出典、四字熟語だそうです。
昨年末に、入院してから急にでもないのですが、以前からのことを思い出し、考える機会が増えてきました。(歳をとったからとも言えますが(笑))
本来の意味からは、少し違うのかもしれませんが、この仕事を始めた昭和59年頃の設計や建物を振り返り、今だったらここをこうしていたかな?とか、今ならこうできるのに?ということを考えます。
当時は、そのようなことや発想しかできなかったことが、年と共に木構造も開発・発展がなされ(私自身も(笑))変わってきたのだと感じます。
以前から、「歳をとったら昔に関わった建物を見て回ろう」と思っていたのですが、最近出張に出て近くまで行ったら訪ねてみるという機会が増えてきました。その度に「今だったらこんなことができたのに」とか、「あの時でも、こうしていたんだ」とか忘れていたことなどの新しい発見をしています。新しいことを追い求めるのも良いこととは思いますが、「あの時自分は、どのようにしたんだろう」とか、「今だったらこうできたのに」など振り返ってみるのも良いのでは、ないでしょうか?
この仕事を始めた当初は、何でもかんでも湾曲アーチを使った設計が多かったのですが、湾曲材が高いということもあり 直材を使って平面トラスや立体トラスの提案ができるようになり、以降は、意匠設計の要望に対応する提案などができるようになっていきました。
左上の写真から右下の写真まで 約30年が、かかってしまいましたが(笑)。
どんな職種においても、最初に担当してからある程度期間が過ぎると、いい意味での「習熟」。違った意味では、「慣れ」という風に成長(?)していきます。習熟は良いのですか、慣れというものは、当然、良い面もありますが、悪い面も隠し持っているものだと思います。
私自身も、始めた頃の構造計算書では、ほぼ全ての接合部などについて、判り切った内容についてでも記載したものですが、年を重ねるにつれ「これは、計算までいらないな」とか、「ここに書いてありますよ」といった記述が増えています。
「ヒューマンエラーは、慣れたときに起こる」
と言われており、そして起こってしまったその後に「初心に帰れ」などと言われます。悪い慣れやちょっとした不注意をなくすことでも怪我や事故を防ぐことが、できるのではないかと考えています。怪我や事故を起こしてしまう前に一度、自分が今の仕事に就いた当初に諸先輩・上司に教えてもらったことや注意されたことなどを思い出してみては、いかがでしょぅか?(仕事に限らず、運転・生活でもですが慣れが引き起こす 悪い事象は多いですね)
寒い季節が、やってきました。縮こまった態勢などでの作業や手抜きでは、更に危険性が増し見ている人にも不快感を覚えさせることを自覚しましょう。先日TVで放映された、中国のBLACK MONDAY の配送会社の画像で「忙しいから」とか「早い」などと言いながらお客様の商品を蹴飛ばしていた画像をみて不快感を感じた人も多かったと思います。
(常務取締役 塩﨑 征男)