京都大学でCLT接合実験を行いました

11月5日~11月15日にかけて、京都大学(京都府宇治市)にて「全ネジスクリューを用いたCLT壁-CLT床間接合耐力の評価」というテーマで試験を行いました。

建物をほぼスギCLT(直交集成板:Cross Laminated Timber)だけを使って建てる場合を想定し、金物類が少なく施工の複雑さがなく、なおかつ部材の加工も簡単なCLT壁-CLT床間の接合法である「全ネジスクリューの斜めクロス打ち」を採用し、その耐力試験をしました。

図1 全ネジスクリュー斜め打ち イメージ
図1 全ネジスクリュー斜め打ち イメージ

試験方法は、せん断試験、引き抜き試験、耐力壁試験の3通りで、各試験の中でスクリューの間隔、角度などを変えて、条件の違いによる耐力への影響を比較しました。

写真1 全ネジ斜め打ち状況
写真1 全ネジ斜め打ち状況
写真2 約150㎏のCLTを吊り上げる
写真2 約150㎏のCLTを吊り上げる

写真3 せん断試験
写真3 せん断試験
写真4 引き抜き試験
写真4 引き抜き試験

せん断試験、引き抜き試験ともにスクリューの打ち込み角度の影響が大きく現れました。打ち込み間隔の影響はほとんど見られませんでした。

ほとんどの破壊は壁側のネジの引き抜けによるものでした。

スクリュー1本当たりの耐力は、せん断でも引き抜きでも、10kN(約1トン)前後という結果でした。

写真5 せん断試験 破壊後
写真5 せん断試験 破壊後
写真6 引き抜き試験 破壊後
写真6 引き抜き試験 破壊後

気付いた事としては、破壊後、床から壁が剥がれて隙間ができても全ネジスクリューがなかなか抜けきらないという点が特徴的でした。

実際床と壁が離れても、ある程度せん断性能は保たれており、全ネジスクリューによる接合部は壊れにくく、安心感が大きいということが言えると思います。

写真7 耐力壁試験 破壊後
写真7 耐力壁試験 破壊後
写真8 耐力壁試験 金物が床にめりこむ
写真8 耐力壁試験 金物が床にめりこむ

試験体の数が多いことや、なかなか試験自体が思っていた通りに進行しないといった苦労はありましたが、面白い実験になりました。

 

約2週間の滞在でしたが、京都らしいところは何も見ることなく帰りました。

(王将で餃子を食べました)

 

皆様、ご協力ありがとうございました。

(建設部 小松)

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コメント: 4
  • #1

    闕澤利 (土曜日, 28 12月 2013 23:49)

    賢司さん、お久しぶりです。CLTの実験ご苦労様でした。でもおもしろいですね~。一緒にしたいね。最近のCLTの研究についての資料を勉強したいです。

  • #2

    佐々木 幸久 (木曜日, 09 1月 2014 11:22)

    闕先生
    お久しぶりです。コメント有り難うございます。
    南京の気候はどうですか?
    京都ほどではありませんが、南国鹿児島も、やっぱり寒いです。

  • #3

    闕澤利 (月曜日, 20 1月 2014 16:42)

    佐々木 社長
    お久しぶりです。新年あけましておめでとうございます。
    毎度のWoodistたよりを頂いでありがとうございます。
    南京今年寒くないです。でも、霾が多いです。青い空全然見えなかった。鹿児島の温泉が懐かしいです。時間あれば、是非南京に一度訪問して合いますよう。

  • #4

    小松賢司 (金曜日, 31 1月 2014)

    闕先生
    コメントいただいていたのですね。
    ありがとうございます。
    中島さんと二人だけでしたのでなかなか大変でした。

    次は2月に台湾の振動大試験に行ってきます。