M田次長のぶらり肝付町の旅・川上地区編②

夏休みも今日で終わりの8月31日。

写真部のN野くん、T口田さん親子3人、私の総勢5人で川上地区を歩いてみました。前回訪れた川上中学校から集落の通りを50mほど。炎天下、道行く人影はもちろんありません。ただ、片野橋の川風はひんやりと、汗ばんだ肌を通り過ぎていきます。

橋の上からは、透き通る流れを群れ泳ぐ小魚や青黒い川蜻蛉の姿を見ることができました。空には入道雲、油蟬の声。吉田拓郎のあの歌を口ずさみたくなる風景がひろがっています。子供達とあとで川遊びをする約束をしながら、しばし欄干にたたずみました。


橋を渡って、川沿いの道を上流に向かうと100mも行かないうちに、目的の家に到着しました。ここは、地域おこし協力隊のJOUさんが、その活動の中で改修したゲストハウスなのです。いろいろなイベントのときにこの地を訪れてくれる国内外からのお客様の宿泊所となり、ラウンジとなる一軒家です。

入り口に鎮座する大きな花崗岩(写真左下)の印象から「石の家」と名づけられていますが、もとは営林署の官舎だったというこの建物、外観は至って平凡、何の変哲もありません。

↑花崗岩は差し渡し5m位の大きさ。あれ?あそこに座敷わらしの姿が・・・(注:T口田さんの子どもがどこかに映りこんでいます)
↑花崗岩は差し渡し5m位の大きさ。あれ?あそこに座敷わらしの姿が・・・(注:T口田さんの子どもがどこかに映りこんでいます)


ところが、右の入り口から家の中に入ったとたん、とても不思議な感覚に身を包まれてしまいました。取り去られたはずの天井で、霞のような半透明の空間が外からの光を反射して、屋根裏の上までを柔らかい明るさで満たしているのです。

「見ているだけで涼しげですね。」N野くんの感想。当たりです。圧迫感なしで風のように揺らいでいる空間は外気の熱を取り去ってくれるようです。

シルバーのアルミサッシの向こうには川を背に広いウッドデッキ
シルバーのアルミサッシの向こうには川を背に広いウッドデッキ

霞の正体は、鴨居や後付けの枠材に張られたテグスなのです。ライン同士の間隔は1cm。上に10層重なっているそうです。使ったテグスは20kg。いやはや、恐るべき手仕事。

「デザインしたのは、東京で設計のお仕事をしている河内一泰さん。手伝ったのは、鹿屋出身で今は東京にいる杉村君。と彼の仲間たちよ。」とJOUさんが教えてくれました。

この部屋まるごとが、最上級のおもてなしの表現なのでしょうか。

シルバーのアルミサッシの向こうに設けた広いウッドデッキは、演奏や舞踏の舞台にも使われるそうです。

この部屋から川面を眺めながら飲むビールの味はさぞかし最高だろうなぁなどと考えつつ次回に続く。

(M田)

協力:N野、T口田