10月18日(土)、福岡大学において「超高層ビルに木材を使用する研究会」の第2回総会と、講演会・シンポジウムが行われ、当社は事務局として参加しました。
■日時:10月18日(土)13:20~
■場所:福岡大学商学部2号館231教室
■内容:
(1)13:20~ 総会
(2)14:00~ 講演会「建築における木材活用の意義について」 神田 順氏
(3)15:00~ シンポジウム「超高層ビルにどうやって木材を使用するか」
<コーディネーター>
島田 泰助氏 全国木材組合連合会副会長、前林野庁長官
<予定パネリスト>(※五十音順)
稲田 達夫氏 福岡大学工学部教授
大熊 幹章氏 前農学会会長、東京大学名誉教授
神田 順氏 建築基本法制定準備会会長、日本大学教授、東京大学名誉教授
塩﨑 征男氏 山佐木材(株)常務取締役技術本部長、日本CLT協会技術部長
塩屋 晋一氏 鹿児島大学大学院教授
(4)17:30~ 懇親会(会費制)
14時からの講演会・シンポジウムには、超高層木材研究会の皆様をはじめ、日本木材学会九州支部からもご参加いただき、約70名の方にご出席いただきました。
基調講演は、神田順先生にお願いいたしました。
神田先生は、建築基準法に代わる「建築基本法」の制定にご尽力されており、耐震建築、建築構造等に幅広い知見をお持ちでいらっしゃいます。
今回研究会の主旨に合わせて「建築における木材活用の意義」についてご講演いただきました。
●木造=弱いというイメージが伝わってしまったきっかけの一つが日本建築学会の木造禁止決議。昭和34年伊勢湾台風の被害を受けて、防火・耐風水害のための木造を禁止した。木造だから弱いのではなく、安全をどういう形で考えて、どういう風に逸していくのかというのが本来のテーマである。
●2006年姉歯事件という構造計算書の偽装がきっかけで建築基準法の改正が行われた。ルールを細かくたくさん作ることによって規制が強化された。これは木造建築にとっては負の作用をもたらし、確認申請がなかなか通らないといったことも起こった。
●2003年に建築基本法制定準備会を200名くらいで発足させた。98年の法改正により建築の理念や関係者の責務が見えにくくなったことがきっかけ。
建築は安全でなければならないが、安全確保については専門家の責任がある。また建築主が責任を認識するということをどのようにして一般の通念にしていくか。
シンポジウム「超高層ビルにどうやって木材を使用するか」は、島田泰助氏をコーディネーターにお迎えし、パネリストとして稲田達夫氏、大熊幹章氏、神田順氏、塩﨑征男氏、塩屋晋一氏に参加していただきました。(各氏略歴は添付ファイル参照)
稲田達夫会長は、現在取り組んでいる「超高層オフィスビル床のCLT化」について、接合、耐火、施工性確認などの実験結果を紹介し、「イメージを持ってもらうために、30階建て程度の超高層オフィスビルで木床、木小梁を用いた試設計を一つ行い、資料をまとめたい」と話しました。
塩屋晋一副会長は、鉄筋を入れた集成材(SAMURAI集成材)による建物第一号の事例を紹介。塩﨑征男氏は、材料としてのCLTの特長や海外の事例等を紹介しました。
大熊幹章氏は自身が関わる虎ノ門地区のビル建て替えについて、実際に木床にCLT利用ができないか検討されていることを報告し、研究会に協力を求めました。
島田氏は、戦後日本は建築基準法にも見られるように「非木造の街づくり」=「災害に強い街づくり」を目指してきたが、今時代は逆に動いている。技術的にも「木造でも強い街づくり」が可能になっている。まず最初に木材を使うことを検討し、木材がダメなら他の材料を検討するという考えを普及させていきたいと話しました。
研究会は、九州を中心に法人会員12社、個人会員52名になりました。
現在も会員を広く募集しております。ご興味のある方は研究会ホームページまたは研究会事務局(山佐木材)までお問い合わせください。
(事務局 総務経理部 佐々木真理)
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