鳥好きな人たちの間では、自分の身近な場所でバードウォッチングをもっと楽しもうという「トコロジスト」なる動きが提唱されています。もともと出不精のわたしには、長い距離を移動することなく、できるだけいつもの気に入った場所にいて、そこに来てくれる鳥たちを見て楽しむ方が性に合っているようです。で、今のわたしのお気に入りの山佐木材下住工場とその周辺、約8ヘクタール内の「トコロ」。
鳥好きから見た“シモジュウ”の紹介と、職場の仲間の紹介をさせて下さい。
職場でバードウォッチング
わたしが山佐木材に移ったのは数年前のことです。
それまでの町中とは違う環境の中、1年を通して鳥の種類も個体数もはるかに多いことにわくわくしました。下住工場は、町外れの田んぼの中にあり、すぐ南側を肝付川が流れています。北と西には農業用水路沿いの薮と4、5メートルの高さの樹木が茂っており、野鳥にとっては餌場であり、格好の避難場所にもなっています。
やはり仕事が優先ですので、就業前の早朝、お昼休みや仕事が終わってからの夕方、肉眼や双眼鏡片手に観察しています。駐車場の自家用車の中から、広い視野で鳥の姿を見ることができることがちょっと自慢のフィールドです。
いつも来てくれているのは、コサギ、アオサギ、トビ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、イソヒヨドリ、ウグイス、セッカ、シジュウカラ、エナガ、ホオジロ、カワラヒワ、イカル、スズメなどです。
初夏になってヒクイナやオオヨシキリがにぎやかな声を聞かせ始めるころには、田んぼのトラクターのうしろをアマサギがついて歩き回っています。
冬が近づくと南を流れる肝付川に、オオバンやコガモ、ヒドリガモ、マガモなどのカモ類が訪れます。
国交省の河川護岸の考え方が少し自然保護の方向に転換されて造られたワンドとよばれる淀みと小島が彼らのねぐらになっているようです。
そして、堤防沿いに歩くとワシタカの仲間のノスリやチョウゲンボウ、運がよければフクロウの仲間コミミズクに出会うことができ、工場周辺の木々にはジョウビタキやツグミ、シロハラなどの冬鳥たちがやってきてくれます。
鳥と人を楽しむ
職場でもうひとつ楽しみを見つけました。
それは、仕事を離れてしまえばあまり話す機会もなかった同僚(N野君)と、鳥という共通の話題を持つことで生まれる思いもかけないコミュニケーションです。
彼は昨年秋にいいレンズを買って以来、驚くべき観察眼で野鳥の写真を撮ってくれるようになりました。
N野君が特に撮影の対象として意識しているのは会社の周辺や近くの河川敷で見つける野鳥たちです。
写真に撮ったあと特徴をネットなどで調べ、鳥種を推定して私のところに持ち込んでくれます。
「アリスイだと思うんですけど合ってますか?」とか、「僕的にはエナガはかわいいと思いますがM田さんはどうですか?」とか、いまどきの若者らしい語り口が持ち味です。
毎月半ばに発信されるメールマガジンにも、バードウォッチングのコーナーを作り、N野君が撮り貯めた写真から厳選して、毎月数枚ずつ更新しています。
更新を続けていることで、メルマガ作成委員会のほかのメンバー(T口田さん)も会社の周りにいる鳥たちがこんなに種類が多いことに驚き、しだいに四季折々の鳥の話題もでるようになりました。
一日のうち、おそらく家にいる時間より長い時を過ごす職場で、休み時間にちょこちょこと楽しむバードウォッチングを紹介しました。これからさらに、職場の仲間たちと、この環境のすばらしさを実感し、それを大切にしていけるようなことが続けていければいいなぁと思っています。
工場見学を兼ねたバードウォッチングにいらっしゃいませんか?
(シェルパM田)
コメントをお書きください