去る4月9日、銘建工業様のCLT新工場落成式に参加してきました。聞きしに勝る規模であり、同社中島社長のこの事業に掛ける熱い思いが伝わってきます。
CLTについては当社も小松幸平先生のご紹介によって、おかげさまで早い内にその存在を知ることが出来ました(2000年KLH社視察)。大型木造建築事業を始めてちょうど10年たった頃でした。魅力的な新材料・新構法として今後の事業展開に大いなる可能性を感じました。早速中古のプレスを手に入れて、試作や性能試験をしたりしましたが、規制の壁は厚く、私の器量ではこの魅力ある新素材を事業化することは出来ませんでした。規制でがんじがらめの我が国にあって、まさに中島浩一郎氏の突破力でこの新材料が陽の目を見ることになりました。
当日落成式にゲストで来ておられた政治家の方が挨拶の中で、「2番では駄目なんです、1番でなければ駄目なんです」と銘建さんへのエールを送りました。この発言は出席者から大いに受けていましたが、これはもちろんかつて民主党政権時に何とか言う女性議員が、スーパーコンピューター開発について「なぜ2番目では駄目なのか」と批判、当時話題になった妄言へのひねりです。
中島氏はもちろんこの事業の成功を確信していると思いますが、同時に業界の推進者、牽引車としてこれだけ話題になり各界の期待を担った以上、質量ともにヨーロッパ並みの、国内ではダントツの規模の工場を作らざるを得なかったものと思いました。
先ほどの議員さんの発言はご祝儀表現であって、スパコンのようなニーズや性能が割と明確な最先端技術とは違って、木材や建築のような裾野が広く、多種多様な用途や価値観がある産業では、もちろん二番手、三番手があり得ます。社会の隠れたニーズや価値観の中から、ニッチな用途を発掘して独自の事業コンセプトを練り上げる、まさに「人の行く、裏に道あり」。会場の多くの方々と言葉を交わしながら、そのようなことを考えていました。
パーティーは工場の一画で行われましたが、豪華なお弁当のほかに、中島氏の幼なじみの料理人さんが焼くお肉とか、特産の海産物、おそばなどの屋台がたちました。また地元の清酒、ワインなど銘酒がこれでもかというほどに並びました。真庭市という豊かな地方都市らしい、中島氏のお人柄にふさわしい誠に温かい雰囲気に溢れた良い宴席でした。あとは新幹線に乗り込むのみ、心ならずもかなりの量のお酒を頂戴した次第です。
(佐々木幸久)
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