M田部長のぶらり旅・志布志編(3)大正時代の洋館へ

 K松先生が南京でぶらり。大陸の雰囲気が味わえる楽しいブログありがとうございました。長江の水平線を遙かに眺めながらのフェリーに一度乗ってみたくなりました。そのときは先生、よろしくお願いします。

 

 さてさて、お釈迦まつりの日、甘茶掛けやパレードで賑わう志布志の裏通りに、興味深いものを見つけました。この日に合わせて1年に1回だけ公開される洋館、「東郷医院」です。

年1回の公開とあってかなりな人だかり
年1回の公開とあってかなりな人だかり

 

 総2階建てのこのおしゃれな建物は、大正6年(1917年)の竣工とあり、ちょうど100年目を迎えています。現存する洋館としては鹿児島市の山形屋デパート社屋(1916年)に次いで2番目に古いものだそうです。

 

 外装は手の込んだモルタル仕上げで、100年を経た今も当時の美しさを保っています。必見は右手上、切り妻の軒下に掲げられたレリーフ(おそらく鏝絵)です。微笑む子ども(天使?)が地球の上に乗っている構図は、子どもの命を何よりも大切に考えていますよという旧東郷医院としてのメッセージなのかもしれません。

 

優しいほほえみで来訪者を見下ろす子ども(天使)。
優しいほほえみで来訪者を見下ろす子ども(天使)。

 

中に入ると病院の受付が正面にあり、左手が診察・治療室になっています。

受付枠のデザインは、外窓上のレリーフと統一されています。

昔の病院は受付と薬局が一緒でしたよね。今日の受付もここで。
昔の病院は受付と薬局が一緒でしたよね。今日の受付もここで。

 

 右手階段を上って2階へ。階段は向こうの居住エリアからも上がれるようになっており、2階が応接室と客間だったことがわかります。さすがに大正の初めに贅を尽くして建てられた洋館だけに、内装も目を引くものばかり。各室のシャンデリアはご覧のとおり。洋間は湾曲した折り上げ天井で柔らかい雰囲気、和室をしきる欄間には屋久杉が使われているようです。廊下の床も1尺を超える広葉樹板(タブかな)で張られており、なかでも一番広いのは3尺巾の2間長ものでした。

2階洋間の天井。S字の湾曲が柔らかい雰囲気をかもしだす
2階洋間の天井。S字の湾曲が柔らかい雰囲気をかもしだす

 大隅半島ではいちばん古く、とても興味深い洋館でした。オーナーが大切に保全されていることが伝わってきました。また、一年後、ゆっくり見させていただきたいと思います。

(志布志からどこへ M田)