出発、成田にて
平成28年6月6日16時30分、成田空港HISカウンター前に集合。当日CLT協会総会の日でしたが、塩﨑常務に参加して貰い、余裕を持って成田へ。おかげでこちらには多分一番乗りの到着。
さて旧知、初対面含めて参加予定者が全部そろい、いざ搭乗手続きというとき、荒川団長が「パスポートを家に置き忘れてきた」と爆弾発言。団長からは旅の注意事項や現地の気候情報などと共に、再々「パスポートだけは忘れないように」と、注意喚起のメールを戴いていていつも何か忘れ物をする私なども十分心していたのでしたが、当のご本尊が忘れてしまったとは。
航空会社と話がついて荒川先生のみ翌日便に変更、団長抜きで視察団は出発することとなりました。旅は早くも波乱含みの予感です。
飛行時間10時間30分の時間は実に長いと感じました。行きは夜行便でありかねての晩酌に比べてビール1杯ワイン2杯は少な過ぎ、また余り遅くまで読書灯をつけるのも憚られ、眠れぬ夜を持て余しました。帰り便でさほど感じなかったのは昼行便であり持って行った本をゆっくり読むことが出来たからでしょう。しかしもう海外旅行も考え物だなと感じたことでした。
防腐防蟻は50年保証
今回の視察で最も感じ入ったのは、防腐防蟻の保証期間は基本的に、Life Time(家が存続する限り)とういことです。
ニュージーランドの規格では、 内装材 5年、 外装材15年、 構造材50年 と決まっているというのです。
住宅建築中
木材はすべて保存処理している
大半がホウ酸塩(多分DOT)
ホウ酸塩はピンク色に着色。
(当社でも処理材はピンク色使用)
一部水掛かり部分をCCA処理
なお、CCAはニュージーランドでは禁止されていません。住宅の一部、雨掛かりなどで使用されますし、外構材ではタナリス等とともに非常に多く使用されています。
様々なメーカーにおいて様々な薬剤や処理技術が開発され、メーカー同士の競争もあるようですが、基本的に新築の際にはすべての木材に加圧注入されます。我が国でよくある農薬の現場塗布や、土台根太など構造材の一部処理ではなく、住宅に使用される木材すべてに加圧注入による保存処理が行われています。
それにしても我が国では何故農薬の塗布処理というような永続的な効果が期待できないやり方を、優秀な専門家がそろっているはずの薬品メーカーが推奨して恥じないのだろうかと疑問に思います。
保存処理費は60~75$/m3ということでした。NZ$であれば、5000円~6500円ということになります。家1棟分の木材が、造作材、合板も含めて30m3あるとすれば、1棟あたり15万円から20万円、十分容認できる必要経費だろうと思われます。
当社としても「保証期間」50年と決めるのは時期尚早としても、長期の耐朽性能について真剣に考える必要があるように思います。
その手法についていろいろあると思いますが、家1棟分すべて処理する人にはm3当たり処理費を安くして全棟処理を強く推奨する。
ホウ酸処理マニュアルを再度チェック、温湿度管理が出来る養生室を整えてしっかりした養生を行う。
以上のようなことを検討すべきだと考えました。
ポールコンストラクション構法
防腐処理した丸太を穴に立てて、コンクリートで埋める。
その丸太柱の上に桁を乗せて建物にする。
ニュージーランドやオーストラリアでよく見る。
帯のこ。幅が広く、身も厚い。
背にも刃がついている。
木造の防火用水タンク。二つの工場で見る。
防腐処理(CCAもしくはCuAZ)した木材で作る。
長い鉄筋で絞る。下が水圧が掛かるので、
下に行くほど段々鉄筋の距離が近くなっている。
次回予告
ニュージーランドでの食事その他について
(佐々木 幸久)
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日本ボレイト㈱佐中 敦 (水曜日, 17 8月 2016 10:23)
日本市場のラジアタパイン評価は旧住建産業さんがNZ工場を開設した二十数年前と比べると大幅に低下しています。日本的感覚からすると低級材にも関わらず適切な木材保存処理により長期耐久性を実現しているNZは驚嘆します。産業別の部分最適ではなく全体最適の施策効果の現れでしょうか。
第3回レポートも期待しております。