立夏を迎えました。孟宗の筍は高々と伸び、枝を広げかけているものもあります。里山の常緑広葉樹はいっせいに黄金色の花を咲かせはじめ、いま、まさに当地は山笑う季節となりました。気温もあがり少し動くと汗ばむくらい。お水も美味しい。
汲み置いていた水がそろそろ底をつきそうなのでゆっくりあるときに汲みに行きたいという、家人からのリクエストにお応えして、GWの昼下がり、ポリ缶を積んで出かけることにしました。
行く先は、届け物もあるというので志布志方面に。蓬(よもぎ)の里湧水とか高下谷(こうげたん)のわき水とか知る人ぞ知る、知らない人は知らない名水をなんどか汲んだことがあります。が、今回は志布志の町中、宝満寺の近くにもいい水汲み場があるとの噂を聞きつけ、そこに行ってみることに。
去年「お釈迦祭り」でウロウロした辺りで、ちょいと土地勘もありすぐに見つけることができました。
「沢目記湧水」という銘のあるたいへん立派な水汲み場です。ここ沢目記集落の皆さんが整備された共同の水汲み場だそうです。渾々と湧きでる清水を称えるようにこれまた立派な句碑も鎮座しています。
ポリ缶にたっぷり汲み終えて、句碑の横の看板を読んでみると、大正5年の秋、あの山頭火が志布志の町中を2日間托鉢して回ったそうな。『きき水』の達人ともよばれた彼は、そのときこの湧き水も飲み味わったかも知れませんね。と解説されております。昔から大切にされてきた湧水なんです。心していただきましょう。
山頭火と言えば、30年近く前フランキー堺さんが熱演したドラマがありました。今でも記憶に残っています。フランキーさんは鹿児島の出身なので、あの人のドラマはよく見ていました。
さて、ここ志布志には、山頭火が2日間過ごしたなかで詠んだ句が14の句碑に刻まれ、街のあちこちに残されているようです。そのうちこの湧水から一番近いところに、彼が鹿児島を去るきっかけになった出来事を読んだ句碑がありました。
解説看板によると47才の彼は、若い巡査から「托鉢なら正々堂々とやれ。」と注意されたので感傷的な気分になり、行を止め宿に戻って、翌日は都城に向かったそうです。なんかわかる気がしません?旅路の果ての山頭火の気持ちが。しかも秋なんです。
他の句碑も見つけてみたいのですが、霧雨が小雨になってきたので、わたしたちもそろそろと帰路につくことにしました。
(次は緑の中かな M田)
参考文献
・「種田山頭火白碑めぐり 山頭火と志にあふれる旅」 志布志市
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