M田部長のぶらり旅(番外編)コアジサシが帰ってきました!

 2017年6月、志布志湾沿岸の鳥友だちからうれしい知らせが届きました。志布志市から大崎町にかけての海岸にアジサシの仲間が100羽以上飛来しており、営巣をはじめた可能性もある。コアジサシが主だが、他のアジサシ類も混じっているようだというのです。

  

 コアジサシは、チドリ目カモメ科の鳥、大きさはハトぐらい。白い翼と尾羽を広げて糸を引くように飛翔する姿や獲物を狙うときのホバリングはさながらツバメを思わせるほどです。日本には4月ごろから夏鳥として渡来し、海岸や河川の砂地にコロニーを作って繁殖します。

 

 10年ほど前までは、志布志湾沿岸でもその姿は夏の風物詩で、志布志市から肝付町までの河口や砂浜にいくつかのコロニーが形成され、6,7月には雛たちの可愛らしい姿を見ることができたのです。しかし、ここ数年集団でこの地に渡来することはほとんどなくなり、もちろん営巣を観察することは皆無となっていました。鹿児島県の2016年改訂レッドデータブックでは絶滅危惧種Ⅰ類(絶滅の危機に瀕している種)にはいってしまいました。※1

 そのような中、2年前から志布志市在住の方がたが、志布志湾にコアジサシを呼び戻す環境を整備しようと営巣地の造成やデコイの設置などの活動を続けておられます。

  参照:2016年4月ぶらり旅(番外編)「帰っておいでコアジサシ ボランティア活動 in 志布志」 

 

 鳥友だちからの情報を得て、早速大崎町の海岸に行ってみました。青い空と海を背景に数十羽のコアジサシが飛び交い、砂地のあちらこちらに抱卵をするようにしゃがみ込んだ固体を観ることができました。運がよければ雛がかえるかも知れません。(写真は2017.6.29 益丸海岸)

 

 

 これから本格的な夏を迎え、この辺りの海岸には人や車も入ってきます。花火大会の大きな音も響くこともあるでしょう。何といっても大波寄せる台風がやってくる季節。

 久しぶりに帰ってきてくれたコアジサシたちが、何とか無事に、うまくいけば子育てをしながら、この夏を乗り切ってくれることを祈るばかりです。

 

 ※1 環境省平成24 年8月作成の第4次レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に位置づけられている。

 

(できれば次回で続きを M田) 


参考文献

「鹿児島県レッドリスト 平成26年改訂」

「環境省レッドリスト 2017」

 環境省「コアジサシ繁殖地の保全・配慮指針」平成26年3月

「フィールドガイド 日本の野鳥」高野伸二著