超高層ビルに木材を使用する研究会:第5回総会および記念シンポジウム

 

 10月27日(金)、当社が事務局をつとめる「超高層ビルに木材を使用する研究会」の第5回総会、記念シンポジウムが鹿児島大学で開催されました。

 

 例年、研究会の総会にあわせて、ゲストをお迎えして講演いただいておりますが、これまでは本部を置いていた福岡大学で開催していました。今回本部所在地変更にあわせ、初めて鹿児島で開催してみようかということになり、4月に実施した理事会で、シンポジウムの内容を話し合いました。

 いくつか進行中のCLTプロジェクトの担当者に話をしてもらったらよいのではないか、広報次第で人はかなり集まるはずなので大きな会場でやろう、せっかく鹿児島まで来ていただくのだから翌日に山佐木材のCLT新工場も見学できるようにしてはどうか等々、話が盛り上がり、鹿児島県も主催に入ってくださることになり、講師・パネリストの方々もお忙しい中、快くお引き受けいただいて、半年の準備期間を経て、添付のような魅力的なプログラムが実現しました。 

 

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CLTシンポジウム プログラム
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 会場は、研究会副会長である鹿児島大学・塩屋晋一教授に世話人を引き受けていただき、鹿児島大学内の「稲盛会館 キミ&ケサメモリアルホール」で開催できることになりました。 

 

 安藤忠雄氏設計の建物で、建物内に見えるたまご?の中がホールになっています。 

 

 ここに入るのは私達も初めて。当日手伝ってくれた鹿児島大学の学生も入るのは初めてということで、準備の前に、まず施設見学。

稲盛会館
稲盛会館

  シンポジウムの定員は、当初150名と設定していましたが、結果的には県内外から220名を超える方にご参加いただき、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。鹿児島大学からも先生や学生さんに多数ご参加いただきました。誠にありがとうございました。


 

以下、内容を少しご紹介します。

 

■ 第5回総会

 研究会の総会は、シンポジウムに先立ち、工学部の教室にて開催され、全議案が承認されました。

 設立5年目を迎え、法人会員20社、個人会員46名になり、9月に開催した松尾建設様の新社屋の見学会には、研究会の皆様にも多数参加いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。


 

■CLTシンポジウム開会

開会にあたり、3名の方にご挨拶賜りました。

・超高層ビルに木材を使用する研究会 稲田 達夫 会長

・鹿児島県環境林務部 次長 大重 健次 様

・鹿児島大学 副学長 近藤 英二 様

稲田達夫会長
稲田達夫会長
鹿児島県 大重健次次長
鹿児島県 大重健次次長
鹿児島大学 近藤英二副学長
鹿児島大学 近藤英二副学長

 

■ 特別講演「ヨーロッパを中心とした木造建築の潮流」

(鹿児島大学工学部建築学科准教授 鷹野 敦氏)

 

 トップバッターとして、鷹野先生にご講演をお願いしました。鹿児島大学大学院を修了後、フィンランドのアアルト大学(旧ヘルシンキ工科大学)に留学して博士号を取られた評判の先生です。昨年鹿児島大学の准教授に着任されました。

 

 今回は海外の状況から今後の木造建築の潮流についてお話いただきました。「木は21世紀のコンクリート」という、このシンポジウムのキーワードとなるようなワードを出していただきました。


 

■ 特別講演「鉄筋集成材SAMURAIによる山佐木材CLT工場棟の設計と建設」

(鹿児島大学工学部建築学科教授 塩屋 晋一氏)

 

 塩屋先生が開発された鉄筋集成材SAMURAIを使用した建物について紹介いただきました。

 SAMURAI第一号は18mスパンの倉庫(2014年7月建設)、そして第二号が現在建設中の25mスパンの山佐木材のCLT工場棟です。

 これら2件の建設により、鉄筋集成材の構造性能および設計施工について、様々な検討が重ねられていることが分かるお話でした。


 

■ パネルディスカッション「大規模木造施設へのCLT利用の課題と展望」

 講演のあと、稲田会長をコーディネーターとして、パネルディスカッションが行われました。

 ディスカッションの前に、お一人ずつご発表いただきました。

 

「第5回総会・記念シンポジウムの開催に当たり」

超高層ビルに木材を使用する研究会会長

 稲田 達夫氏

 

 研究会発足当初「夢を語り合う」ことからスタートし、具体的に6階建て事務所の建設実現まで漕ぎ着けたことに対する御礼と、今後更なる改良についてもご支援賜りたいことについて稲田会長からお話がありました。


 

「三菱地所のCLTユニットの取り組み 沖縄の空港の建設プロジェクト」

 三菱地所株式会社

住宅業務企画部(兼)新事業創造部

CLTユニット 三村 翔氏

 

 2019年春に開業を目指す沖縄の下地島空港旅客ターミナルの屋根構造材にCLTを使用する計画についてお話いただきました。

 沖縄のシロアリ被害リスクを想定し、防蟻実験を実施していることも紹介されました。


 

「(仮称)泉区高森2丁目プロジェクト」

株式会社 竹中工務店  

木造・木質建築推進本部 

部長 麻生 直木氏

 

 S造マンション10階建ての床にCLTを使用する計画についてお話いただきました。2時間耐火の大臣認定取得に向けての取り組みも紹介されました。


 

「松尾建設本店新社屋建設プロジェクト」

株式会社 インフォメディア 

代表取締役社長 山崎 心氏

 

 佐賀の松尾建設様の新社屋6階建ての床にCLTを使用したプロジェクトについてお話いただきました。実際の施工の様子を動画で流しながら説明いただき、今回のためにつくられた専用スタッドなど工夫された点についても紹介されました。


 

「小・中・大規模施設における木材の活用事例」

株式会社 三菱地所設計

構造設計部 兼 デジタルデザイン室

 主事 海老澤 渉氏

 

 ご自身が担当された物件や、海外で視察した大規模木造建築についてご紹介いただきました。また、実際設計してみて木造に対して思うことなども率直にお話してくださいました。


 

パネルディスカッションの様子(左から稲田会長、三村翔氏(三菱地所)、麻生直木氏(竹中工務店)、山崎心氏(インフォメディア)、海老澤渉氏(三菱地所設計))

 

 この研究会は、必ず懇親会もセットで開催されるという特徴がありますが、今回は鹿児島大学内の食堂「エデュカ」にて、約70名の方に参加いただきました。刺身、黒豚、鶏飯など鹿児島らしいものも用意していただきました。

本日大活躍の塩屋先生
本日大活躍の塩屋先生
乾杯のご挨拶をいただいた九州大学の藤本先生
乾杯のご挨拶をいただいた九州大学の藤本先生

 

 会場となった鹿児島大学の食堂棟は、集成材を使用しており、以前に当社が手掛けた建物です。構造材だけでなく、壁のレリーフも当社木工部(当時)にて製作したのだそうです。今は木工部が無いので、このような製作は難しそうですが、20年以上経つ今も良い雰囲気です。

 

 今回は、主に建築に関するシンポジウムでしたが、分野を問わず、多くのお問い合わせを頂戴いたしました。遠方からも多数ご参加いただき、関心の高さを感じました。今後とも研究会として様々な発信に努めたいと思います。ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 研究会に興味があられる方は、入会歓迎いたします。研究会ホームページ

 

 (翌日「嵐の?エクスカーション編」につづく)

事務局 佐々木 真理


★当日配布した資料をこちらからダウンロードいただけます。

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CLTシンポジウム資料
(HP掲載用)1027シンポジウム資料.pdf
PDFファイル 34.2 MB

 

★日刊木材新聞にも紹介されました。

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2017年11月9日 日刊木材新聞
20171109日刊木材新聞(超高層木研シンポジウム).pdf
PDFファイル 199.1 KB

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コメント: 1
  • #1

    タナカアキラ (火曜日, 03 9月 2024 10:46)

    お世話になります。「超高層ビルに木材を使用する研究会」への入会を希望します、㈱スズイチの梶原様に紹介いただきました。
    私は、NPO法人モクラボ九州人に所属し、中大規模木造建築の普及に向けて研究している者です、よろしくお願いします。
    〒815-0031
    福岡市南区清水四丁目22-20船越義ビル405