初の対馬
昨年の8月末のこと、社長が長崎県林業公社の委員をしている関係で、長崎県庁の方々が当社を視察にいらっしゃいました。その日の夜、私も食事を御一緒したのですが、そのとき「対馬」の話になりました。対馬は長崎県だから、当然長崎県庁の管轄になるわけです。
その場に対馬出身のコトーさんがいたこともあり、「次の林業公社の経営会議は対馬で開催しましょう!」「対馬行ったこと無いので行ってみたいデス!」「ヨシ!行くぞ!」「おー!」みたいなやり取りがあったらしく(実は酔っていてあまり覚えていない)、11月14日、社長と一緒に私まで対馬に行くことになりました。
ということで、私にとっては初の「対馬」。同じ九州ではありますが、非常に遠いイメージです。
福岡空港から、もしくは長崎空港から対馬行きの飛行機が飛んでいます。博多港から船で行く方法もあるようです。私は鹿児島から新幹線で博多へ。福岡空港から飛行機で向かいました。
街道をゆく
対馬のことを調べようと、観光案内を眺めていると、司馬遼太郎氏の「街道をゆく」シリーズの中に、「壱岐・対馬の道」があると書いてあるのを見つけました。それなら確か家にあったと、本棚から引っ張り出し、新幹線の中で読むことにしました。
(冒頭の「対馬の人」という章が、対馬のことというより対馬出身の新聞社時代の同僚Aさんの話なのですが、かなり面白く、私は一気にこのAさんのファンになりました。対馬には関係ないですが、おすすめです)
さて、この「街道をゆく」の中で私が印象に残ったのは、対馬についての以下の記述です。
始めて一海を渡る千余里。対馬国に至る。その大官を卑狗(ひく:註「彦」か)と曰ひ、副を卑奴母離(ひなもり:註「夷守」か)と曰ふ。居る所、絶島。方四百余里ばかり。土地は山険しく、深林多く、道路は禽鹿(きんろく)の径のごとし。千余戸あり。良田無く、海物を食つて自活し、船に乗りて南北に市糴(してき)す。
「魏志」倭人伝より
対馬は「絶島」。山が険しく、深い森林が多く、道路は獣道。人々は米が取れないので、漁で暮らし、船に乗って南北の国と交易している。三世紀頃の対馬を表しています。
下の2枚の写真は、対馬の烏帽子岳展望所というところからの眺めですが、リアス式海岸で湾が複雑に入り組んでいるのが分かります。
レンタカーでまわる
※対馬の林業については、社長が先月号で書いていますので、私はその後の観光編です。
対馬は意外と広いので、レンタカーを借りることにしました。レンタカーを借りる人は多いようです。
コトーさんから、運転の注意点(携帯は圏外になるので携帯ナビは使えない、外国人観光客のレンタカーにはイチョウのステッカーが貼ってある、382号線は大丈夫だが他の道路は気をつけろ等)を聞かされていたため、とりあえず南北をつなぐメイン道路である国道382号線を中心に、気になった場所には寄ってみる、というアバウトな目標を立てて行ってみることにします。社長は夕方まで仕事ですので、それまでは気軽な一人旅です。
1.木坂の海人神社
対馬には神社が多いです。昔から漁を生業とする人が多く、大漁や安全を神様に祈るというのは自然なことかもしれません。まずは、木坂という地区にある海人神社に行ってみました。
海の近くの森の中に位置する大きな神社ですが、びっくりするほど人がいません。神社周囲のうっそうとした森には野鳥がかなりいるらしく、(野鳥好きのM田部長や写真部N野さんには良い場所だと思いますが)鳥嫌いの私はびくびくしながら進みます。
結構な階段を上ると、90度方向を変えて、さらに階段が続きます。一人なので辛くても一人で頑張るしかありません。
やっとの思いで上りきると、広い場所に出ます。古いですが奥に立派な社殿もあります。こんなに堂々たる神社なのに誰もいないとは。
中には入れませんでしたので、お参りだけ。
2.天神多久頭魂神社(あめのたくづだま神社)
やまねこセンターに向かう途中、ちょっと変わった石積みのある神社を見つけたので寄ってみました。海のすぐそばです。司馬先生も立ち寄った場所のようで、街道をゆくにも書かれていました。
社殿など建物は無く、鳥居と 磐境(いわさか)という祭壇のみです。
あとで調べると、対馬は「天道信仰」という石塔を作って山と太陽を拝む信仰があり、この神社は天道信仰の中心地の一つだそうです。そういわれると、山の一つ一つが有り難く感じるような気がします。
3.やまねこセンター(正式名称:対馬野生生物保護センター)
空港を「対馬やまねこ空港」というくらい、対馬一押しの野生動物ツシマヤマネコ。
野生のツシマヤマネコに遭う確率は低いので、やまねこセンターに行ったらいいよ、と言われました。
そこまで興味はなかったのですが、行ってみます。
ちょうどお昼時だったので、またしても誰もいませんでしたが、職員の方が丁寧に案内してくださいました。ツシマヤマネコの「福馬君」(福岡動物園生まれ)も遠目ながら会うことができました。
職員の方が、イエネコとツシマヤマネコの違いも説明してくれましたので、偶然みかけることがあったなら、今のはヤマネコだ!と言える?かもしれません。
4.異国が見える丘展望所
対馬のだいぶ北に来ましたので、韓国が見えるかな~と展望台に来てみました。
韓国は見えませんでしたが、携帯電話は韓国の電波を拾いました。
またしても誰もおらず、寒い場所だったので、早々に引き上げました。
5.舟志もみじ街道
やや人恋しくなってきた頃、道路に人だかりができていたので、「もみじ街道」と看板が出ている小道に入りました。舟志(しゅうし)川という川沿いに紅葉がたくさん植えてあり、11月中旬、ちょうど見頃を迎えていました。
もみじ街道は7kmの車道ですが、たくさんの人が上を見ながら歩いているので、気をつけて通る必要があります。その分、車でもゆっくり紅葉を見ながら通り抜けられます。対馬の紅葉は赤くてきれいでした。
6.万関橋と万関瀬戸
対馬を走る国道382号線、この道路のおかげで厳原から上対馬までスムーズに車で行くことができますが、その途中にある「万関橋」、繋がっていて通れなかった部分を運河として通れるようにした「万関瀬戸」にかかる橋です。
この万関瀬戸、明治時代、軍艦が通れるように開削されたのだそうです。うちのじいさん、ひいじいさんがあの辺りを掘ったんだとかいう話が各家庭にあるとか。
7.鮎もどし公園
会議を終えた社長と合流し、今度は南の方へ向かいました。鮎もどし?という名前が気になって寄ってみました。思いがけず吊り橋があって、高所恐怖症の社長は「うう」と言いながら私の後ろを渡っていました。夏に家族で来たら良さそうな場所でした。「鮎もどし」という名前の謎は分からぬまま。
8.豆酘
豆酘と書いて「つつ」と読むそうです。豆酘埼という場所を目指して、細い道を進むと灯台がありました。夕陽に間に合うかどうかギリギリのところ。階段を走って上って、何とか間に合いました。
9.お多幸
この日一日でレンタカー250キロほど走りました。
夕食の場所を考えるのが面倒で、結局は昨日の二次会で来た「お多幸」に。名物一口カツとおでんなどをいただきます。対馬の日本酒「白嶽(しらたけ)」もいただきながら、お多幸ママ(80歳代??)に癒される夜でした。