1月の中頃、この九州の南端でも山には雪が積むほどの寒さでした。春と呼ぶにはまだまだ早い。肌で感じる季節としては初春というよりまだ冬です。
それが2月に入り立春を迎えると木々の枝先はやや赤みを帯びてきて、枯れ草の間から緑の芽が見え始めます。それから10日ほどたった2月16日(金曜日)が、今年の旧暦の正月元旦でした。「新春のお慶びを申し上げます。」という挨拶が、老若男女どなたにもしっくりと受け入れてもらえる肌持ちです。新月の闇の濃い夜が過ぎるころ、白々と明るくなっていく山ぎわから昇る朝日には、晴れ晴れとした快さと暖かさが実感できます。
その週の日曜日。陽気に誘われ春とこの時期のおいしいものを探して散策に出かけることに。拙宅の生け垣周りの草も少し伸びてきました。椿の木の下にはみつばが柔らかな若葉をひろげています。スーパーでは水耕栽培のヒョロッとしたものが一年を通して並べられていますが、あれとは香りも歯ごたえもまるで別物。こいつをたっぷり採って、白和えにしていただくことに。当地では白和えは白味噌仕立てです。今時分、焼酎のつまみとしてこれに勝るものは無いでしょう。
昨年12月に友人二人の手を借りてして間伐を行い、日当たりのよくなった竹山へ行ってみました。孟宗竹の筍はまだ地面から顔を出してはいません。でも靴の底で注意深く探りながら歩いていると、いやはや本当に春なのですなぁ、とんがり頭を発見。まだ、中指ほどの長さですが。
1本の根から5本仲良く並んでおりました。こちらは、「掘った・焼いた・食った」の瞬速三段焼き筍にして食べることにします。みなさまお先にはふはふっ。
そういえば去年もこの時期同じような春さがしをしました。二股トンネルの北にある、ねこやなぎの群落。昨年は1月21日(旧暦12月24日)に訪れて、まだ花穂は出始めというところでした。今年は2月18日(旧暦1月3日)。新暦では去年より1ヶ月ほど遅いことになります。1ヶ月違えば花穂は盛りを過ぎてしまうころでしょう。しかし、旧暦ではわずか10日の遅れです。どんなようすなのか気になって、岸良高山線を南にドライブすること20分。人気のない山に入って5分。
群落は一面銀色にふわふわと輝いておりました。堅く赤いさやはなく、ねこやなぎの花、一番の見頃です。いささか乱暴なとらえ方ではありますが、ねこやなぎの花穂に限ってみると、旧暦に近い巡りで旬を迎えているようです。
かく言うM田にしてみても、ねこやなぎ同様旧暦に添って季節を感じる方がしっくり来る。体が無理をしないような気がします。
今日は啓蟄。貫禄のある足高蜘蛛(アシダカグモ)初見、家人は大騒ぎ。いよいよ春たけなわです。
(次は海か?M田)
※参考文献 小林弦彦著『旧暦は暮らしの羅針盤』NHK出版
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西園靖彦 (水曜日, 21 3月 2018 11:56)
歩く事は嫌いでは無いですが、歴史的なものへは目が向くけど、自然をゆっくり楽しむ意識に欠けていると反省しています。もう少し余裕をもって歩きたいと反省しています。