旅のきっかけ
半年前に本欄に以下の投稿をした。ずいぶん時間がたつので、再掲したい。「以下次号以降詳細報告」と予告しながら、半年以上空いてしまった。お詫びしたい。
(2019年2月号から引用) https://goo.gl/W66UBj
何と家内と南極旅行をする羽目になった。自宅を出たのが、平成31年1月25日午前6時。そして帰ってきたのが2月9日の深夜。
今回は夫唱婦随ならぬ「婦唱夫随」の仕儀であった。私が体を動かしたのは必要とされる健康診断と、旅行料金の払い込みの時のみで、あとは全くの家内任せ。
鹿児島から羽田経由成田までの道中に、初めて詳しい旅行日程表を見た。南極大陸北西端から細く南米大陸へ手を差し伸べているような「南極半島」と、その近辺の「南シェトランド諸島」と言われる地域の周遊であることをその時初めて知った。
自宅を出てから羽田経由成田まで約5時間、成田から約12時間かけてアメリカのダラス、そこからさらに11時間掛けて、アルゼンチンのブエノスアイレス、さらに国内線で300km南下して、「世界最南端の都市」ウシュアイア市。そのウシュアイアの港からフランス船籍クルーズ船「ボレアル号」に乗船したのが、現地時間1月27日午後6時で、ここアルゼンチンと日本との時差が12時間あるので、日本時間では28日午前6時である。自宅を出てから途中ブエノスアイレス、ウシュアイアで若干の観光をしたものの、ホテル一泊、機中泊二日を含めて、まるまる72時間後である。ここから更に丸2日ボレアル号で、荒海で有名な「ドレーク海峡」を越えて南氷洋に至り、驚天動地の南極クルーズを体験することになる。
(引用終わり)
この旅行のきっかけとなった家内の愛読書
「エンデュアランス号漂流記」
著者 アーネスト・シャクルトン
ダラス国際空港到着 米国入国審査を受ける
2時間以上かかったダラス空港でのアメリカ入国審査の様子はおおむね次の通り。
巨大な国際空港であり、頻繁に到来する航空機。数百人とも千人とも知れない入国審査を受ける人の列。
係官が綱を握る麻薬犬の前を一人ひとり通る。入国審査官のところに行く前に最新鋭かと思われる機器があって、画面の指示に基づき首をひねりながらも顔写真撮影、指紋登録、パスポートを画面にかざすなど一連の操作を終えると、いろいろプリントされたシートが出てくる。それを入国審査官に渡すようになっていて、さすがとその効率性に感心する。
ところが入国審査官のところでそのチェックシートを渡すと受け取るものの、またぞろ審査官の指示により顔写真を撮り、パスポートを電子的にチェック、指紋を指5本とも取る。
笑ったのは、どうも指紋がうまく読み取れないらしい、係官が自分の額を指さして指をこすりつける動作をする。どうも指に額の脂をつけろとという指示のようだ。そこで自分の鼻の脂をつけて読み取り装置に押し付けると「OK」。装置のガラス盤はべとべとで、これではますます読み取れないだろう。
ところで事前のあの自動装置での操作は何だったのだろう。
今度は出国検査。うんざりしていると、日本から南米への通過客と認めると検査をパスして通過させてくれる。夕刻再びアメリカン航空に乗り込み、ブエノスアイレス空港に向けて出発。再び長い一夜を過ごす事に。
翌日ブエノスアイレス空港に到着、再び入国審査で、おそらく軽く千人を超える長蛇。列がいくら混んでいても、休憩時間が来たら審査窓口がすっと閉鎖し休憩に入る。窓口は十数か所もあるから列がストップすることはないものの、3~4箇所の窓口で、思い思いに休憩(男女で夢中にだべっていたりなど)しているのにはちょっとびっくり。ここを抜けるのに3時間近くかかった。
冬の成田から真夏のブエノスアイレス市内。市内観光。ホテルに一泊。
国内線空港から国内便で、最南端の都市ウシュアイアへ
面白いと思ったのは客の搭乗順番である。日本で通常行われるのは主に二つあって、一つには奥の席、中ほどの席、最後に前方の席、という順番で乗せるケース。もう一つは最初窓側の席、次に中央の客。最後が通路側の席。
こちらで行われたのは、スーツケースを持たない客から先に搭乗させる方法である。確かに通路に立って大きなカバンを棚に入れるために一時的に通行を妨げている。手荷物のない客はすぐに椅子に座るからこれが実にスムーズにいくのである。
ウシュアイア空港ターミナルは木造であることが機中からもすぐに見て取れた。
南米最南端の都市「ウシュアイア」
炎熱のブエノスアイレスから真っすぐ南に3000km、こちらでは日中でも寒いくらいだった。真南だからブエノスアイレスとは時差がない。日本との時差が12時間、半日先を行く感じで、日本の正午がその日の夜12時。この時間がクルーズ中船内でずっと使われた。
南米最南端の都市。南極クルーズの基地であり、バタゴニア周遊の基地でもある。市内は建築ラッシュである。
今回のクルーズ参加者で霧島市内観光温泉オーナーさんによれば、とにかくウシュアイアまで行きつけば、たくさんのクルーズ船のキャンセル待ちなどして、若くて時間があればの話だが、格安の南極クルーズも可能だとか。
国立公園、世界遺産でもある、「ティエラ デル フエゴ(火の国)」国立公園。世界の金持ちの中で、自分のキャンピングカーを船で送り、自分たちは飛行機で来て、この公園で何日か過ごすのが流行りとか。たしかに大自然である。
(佐々木 幸久)