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★【稲田顧問】タツオが行く!(第59話)
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「これまでのタツオが行く!」(リンク)
59.最近気になっていること
朝のワイドショーで気になる報道があった。G7サミットが始まった1990年代は、日本の経済力は世界でも群を抜いており、国別のGDPは米国に次いで第2位であった。それが最近では国別GDPは中国に抜かれ、もうすぐインドにも抜かれるという。その報道によれば、現在国別のGDPの第2位は中国、第6位がインドであるが、日本の国民一人当たりのGDPは20位に凋落しているという。
なぜここで国民一人当たりのGDPを持ち出したのかよくわからないが、言うまでもないことであるが、日本の国別のGDPは現在でも世界第3位、別に著しく凋落したというほどのことではない。
このところ6月の総会シーズンも間近であり、先日も総会準備のためSASSTの理事会で、鉄骨製作工場の社長さんと話をする機会があった。人手不足が深刻で、海外の技術研修生を誘致するため、東南アジアの各国を回ってきたとのことであるが、東南アジアの若者にとっては日本はあまり魅力的な国ではないのだという。てっきり円安とデフレ経済の影響もあって給与面で不満があるのかと早合点したが、どうもそうではないらしい。
日本の海外技術研修制度では、研修生の残業時間に厳しい制限があり、働きたくても残業代が稼げないというのである。そういえば、福岡大学に勤務していた頃、アジア各国からの留学生も多く在籍していたが、彼らは一様に精力的であり、アルバイトにも勉学にも実に貪欲であった。多分研修生の期待としては日本の技術を学んで母国に持ち帰ることも勿論重要なのだろうが、それ以上に自分の将来や家族のために、お金をできる限り稼ぎたいというのが本音なのだと思う。
折角日本に来ても残業が規制されていたのでは、彼らの期待を満たすことは難しく、日本の魅力も半減してしまうということのようである。
最近、一面的な情報から日本の経済力の衰えを必要以上に誇張して我が国の将来を悲観的に見る傾向があるように思うが残念なことである。
日本を旅行していると特に感じることであるが、美しい自然や奥深い伝統・文化に接することが多い。治安はよく日常で「スリ」に遭遇するようなことは滅多にない。多くの国民は教育にも熱心であり、勤勉で道徳観念もそれなりにある。
山には緑が多く、空気も河川の水も大変きれいであり、多くの公衆トイレは清潔で気持ちが良い。東京や横浜は大都会であり刺激的で面白い街であるが、鹿屋や肝付も豊かな食文化や美しい自然にも恵まれた過ごし易い町である。
あまり表面的な情報だけに踊らされることなく、日ごろから当たり前と感じていることに自信を持って将来を見つめ直すのも有益と思うが、どんなものだろうか。
(稲田 達夫)