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★【稲田顧問】タツオが行く!(第73話)
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「これまでのタツオが行く!」(リンク)
73.2060年の住宅
第72話の最後に、「地球温暖化の問題は、かなり深刻な状態に立ち至っているというのが、今回の見直し作業の結論ということになる。」と書いた。地球温暖化の問題は人類の存亡にも関わる大問題であり、「このままで何も対策を講じなければ2060年には人類が居住できるのは南極の一部のみとなる」という、英国人気象学者ジェームズラブロック氏の警告は特に衝撃的である。もし全人類が一斉に南極を目指すことになれば、凄まじい争いが生じることは避けられないであろう。
さて、どうしたものかいろいろ考えてみたのであるが、結局の所そんなことにはならないだろうという結論に達した。但し2060年と言えば今から36年しかない。やはり相当な対策を考えなければ、かなり厳しい状況となることは、避けられないであろう。
我々は現在でも家庭のレベルでは、空調を使うことにより快適な生活環境を維持している。気温が40度程度までであれば、その延長線上で何とかなりそうであるが、50度を超えるとそれだけでは覚束ない。多分街区のレベルまでの空調が必要になる。
例えば某ゼネコンは右図のような巨大なピラミッドを東京湾に建設することを提案している。
・用途:オフィス、住居、研究、レジャー
・所在地:東京湾
・高さ:海上730m(全高2004m)
・床面積:88km2
このピラミッドの建設により、首都圏の人口の1/47(750,000人)を収容することが可能とのことである。この提案は本当によく考えられていると思うが、しかし少し極端な提案とも思う。100年先にはこのような空間がいくつか建設されることはあり得るかもしれないが、この30年程度で実現するのはかなり無理があるのではないかと思う。
それで、もう少し実現可能ではないかと思う街づくりを考えてみたので次に示す。
・鉄骨造の人工地盤上にCLT造の規格住宅を建設する
・各住戸からは空調されたガラスの回廊で最寄り駅まで繋がっている
・住戸の屋根には太陽光パネルを敷設し、徹底したバリアフリー、徹底した省エネを図る。
これであれば、全国レベルで展開を図れば、30年程度でかなり快適な空間の確保が可能になるのではないかと思う。
勿論、このような対策を進めるためには、行政主導の大胆な意識改革が不可欠であるがそれが本当にできるか、我々は正念場を迎えているのではないか。
人工的に制御された街区 |
(稲田 達夫)