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★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(5)
『日本国内に建てられたCLT建築物』
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前号まで欧米の物件や計画をいくつか紹介してきましたが、今回は日本に既に建てられているCLT建築物のいくつかをご紹介いたします。
残念ながら、それらは当社で製造されたものではないのですが、現在こうした建築物が建てられている情報としてお読み下さい。当社材料でもいくつか(例えば 自社構内に建てられた試験棟他 言いたいけど言えない物件[笑])の物件はありますが、それらはまた別編で紹介したいと思います。
● おおとよ製材(株)社員寮
壁・床・屋根にCLTを使用した日本初のCLT構造建築物。高知県長岡郡大豊町に建設共同住宅(高知おおとよ製材㈱の社員寮)として使用
設計管理者 ㈱日本システム設計 2013年8月 国土交通省の大臣認定を取得
3階建て 部屋数 5部屋軒高 9.95 m床面積 267m2
CLTの使用材積 約119m32014年3月 完成
● Fun to Share ハウス
㈱エヌ・シー・エヌ
・「ロハスデザイン大賞 2014」での展示(2014年5月16~18日 新宿御苑にて)
・「エコライフ・フェア2014」での展示(2014年6月7~8日 代々木公園にて)
● 母の家2030
芝浦工業大学 秋元孝之研究室による「エネマネハウス 2014」での展示
(2014年1月29~31日 東京ビッグサイト 東雲臨時駐車場にて)
芝浦工業大学 秋元孝之研究室と会津土建㈱により移設されました
(福島県・会津若松市)
● コエボハウス
慶応義塾大学 池田靖史研究室 による「エネマネハウス 2014」での展示
(2014年1月29~31日 東京ビッグサイト 東雲臨時駐車場にて)
● FOODARTS STUDIO KACHIDOKI セミナー棟
東京都中央区晴海地区の健康食品を取り扱う店舗に併設された
セミナー室(倉庫の中に建てられています)
● では現在CLT建築物を建てるにはどうすればいいの?
ご存知のように、今はまだ基準強度や設計法の告示が出されていませんので、通常の設計では建てる事ができません。ではどのようにして前述した建物は建てられたのか?
A 大臣個別認定
設計法や強度も決まっていませんが、事前の実験等により得られたデーターを基に「時刻歴応答解析」という計算法で設計することで、評価機関での審査が受けられ個別大臣認定を取得する方法。
冒頭にご紹介した「おおとよ製材社員寮」や今年度、建設が予定されている 岡山県真庭市住宅、真庭木材協同組合社宅、福島県湯の川村共同住宅や北海道北見市の物林セミナーハウスなども同設計法にて設計されています。
B 仮設建築物
展示施設や試験棟など仮設建築物であれば、建設が可能です。
例えば、前述のいくつかは、これに該当すると思います。ただ仮設建築物といっても
建てる場所によっては、条件があるので注意下さい。
おおよそ仮設建築物においても次の条件は必要と思われます。
※適正な方法で構造計算を行っていれば、構造計算については仔細に言及はされないと思われます。(事前確認が必要)
C 建築物として取り扱わないもの
D 確認申請の不要な建物
理解が異なる見解もあると思うのですが、確認申請の必要のない建築物、例えば
は確認申請が不要とされていますが、だからといって 好き勝手やっていいか?というとそれは違っていて、例えばCLTのように現行基準法での設計が難しい建物においても構造設計者が適正な方法により安全性の確認をする必要があると思います。
さて、来月号では既に作業も始まっていると思われますので、(一社)日本CLT協会において進められているCLT建築物の実現に向けての協会内でのWGについてご紹介をしようと思います。
常務取締役技術本部長 塩﨑 征男