--------------------------------------------------------------------
★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(7)

       『CLT開発事業 ますます盛んに!』

--------------------------------------------------------------------

今年度終盤を迎え、CLT建築や開発事業が目白押しです。

12月には岡山県真庭市と福島県湯川村でCLT工法での共同住宅が実証事業として建てられており、見学会が開催されたので参加してきました。


岡山県真庭市

12月22日(月)が一般の参加だったのですが、日本CLT協会の委員会関係者見学会に事前の12月16日(火)に行ってきました。



福島県湯川村

12月24日(水) 幸いお天気は、晴れ 参加者も多く 盛況でした。


両物件は、仕様(床・壁)は、昨年建てられた高知おおとよ製材社宅よりずいぶん改良されていると聞きますが、構造的には、ほぼ同じで 日本システム設計さんによる時刻歴応答解析、引きボルト接合主体で 2階建と3階建の違いはありますが、外観もほぼ同じ建物の様でした。

これらのCLTは全て銘建工業(株)さんで製造されています。


山佐木材のCLT製造と開発

さて当社は?というと、11月に配信されたメルマガ第14号でご紹介したように、連続幅ハギ高周波プレスが完成し、積層プレスラインも稼働を開始し いよいよ本格製造開始の準備が整った状況です。

ただ現状は、皆さん林野庁・国土交通省のロードマップでご存知のように、基準強度や設計法が整備されるのが、平成28年度となっています。それまでは、先のおおとよ製材、真庭住宅や湯川住宅同様に時刻歴応答解析による大臣認定、又は前々号でご紹介したように、仮設建築物などでの対応しか出来ない現状です。

 

引き合いや物件があれば、是非当社としても大臣認定での対応はしたいと考えています。(時刻歴応答解析計算には、心強い「超高層ビルに木材を使用する研究会」会長の福岡大学の稲田教授にお願い出来ると考えています)

取りあえず基準強度や設計法が整備されるまでは、現在進めている林野庁の委託事業による研究開発の先にある「超高層ビルに木材を使用する(S造の床にCLTを)」を目標に頑張っていく予定です。


ホームページのカバー写真が以前と変わっていることにお気づきでしょうか?

この写真は委託事業の一環として、鉄骨構造の床にCLTを利用する時の施工性について確認試験を実施した時の写真です。

併せて高層ビルにCLTを使用するには、構造、接合や施工の問題を解決すると共に防耐火性能を求められることになります。

まだ詳細はご紹介できませんが、当社ではそれらの検討課題にも着手しており、試験を開始しています。3月頃には、その方向性の決定と共に報告書の公表が可能になると思われます。

 

当社のマッシブホルツでの実績

さて話はCLTの実績に戻りますが、確かにCLT工法としての実績については、敷地内に建てた音響試験棟と各種試験体位しか無いのですが、「マッシブホルツ」としての実績としては、かなりの実績を積んできています。

CLT工法建物としてではなく、屋根、ビルの床等への施工であれば、それらと変わるところは無いものと考えています。その例をいくつかご紹介します。

姶良市総合運動公園体育館

延面積5,823 m2の建物を覆う屋根は

全て t=150の通直・湾曲集成材を幅方向に束ねた大判の面材で構成されており

t=150 厚のCLT屋根材と変わらない構造です。



熊本県立球磨工業高校管理棟

この建物では、120×150の製材5本を1つの面材として取りまとめた壁柱として使用しています。

内容としては、CLT t=150の壁と変わらない構造です。



医療法人純青会せいざん病院

ここでは、構造用集成材t=150

長さ6mの厚板集成パネルを使用

3,000m2の施工を担当していますが、CLT床構造と全く同じ構造です。



南阿蘇 某物件

公共建築物の壁に採用された

Wood ALCという 集成材の壁材

CLTと変わりませんよね




確かに壁・床・屋根といった一式のCLT工法の実績は、まだまだ少ないのですが

前述した物件のように部位に特定したマッシブホルツ材の施工実績は、日本では一番多いのではと自負しています。 こうした実績は、今後のCLTの高層ビル床材の施工などのように部位を特定した場合(マッシブホルツとしての利用)においては、十分な施工実績ではないでしょうか?

常務取締役技術本部長 塩﨑 征男