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★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(8)
『CLT 振動台試験』
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CLT 振動台試験が実施されました。(当社CLT製品も使われています。)
昨年、6月よりスタートした「平成26年度住宅整備推進事業 CLTを用いた木造建築基準の高度化推進事業」という長い名前の国土交通省事業があります。
要は「CLT工法の設計法を定めます、その確認のために振動台試験を実施します」という内容です。
今年度の集大成ともいうべき振動台試験が、兵庫県三木市にある独立行政法人 防災科学技術研究所(通称:E-ディフェンス)で実施されました。
E-ディフェンス(ホームページ解説より)
1995年兵庫県南部地震でビル、木造家屋、橋、道路、港湾など多くの構造物が未曾有の被害を被りました。これを契機に、今までの構造物の耐震性の評価方法を見直す必要が認識され、その方向性の一つに、構造物の破壊過程を調べることが重要とされました。そのためのデータを取得する必要がありますが、既存の施設にはそれを達成するだけの十分な性能を有した新たな施設建設が必要となりました。
2005年4月からの研究開始に向けて建設された実験施設が、本研究センターの実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)です。E-ディフェンスは、その名前から実大・三次元・破壊というキーワードで特徴づけられ、実物大の構造物を破壊させるために必要な性能を有しています。そして、E-ディフェンスにおける実験以外に、実物と同じ大きさの構造物が壊れていく過程を調べる方法は、実質的にないといえます。
今回の試験実施日時は、平成27年2月9日(月)~10日(火)の二日間で10日には、
一般公開されました。10日の一般公開には、約300名という大勢の見学者がみえられCLTへの興味の高さを伺えた気がします。
振動台試験は、二回実施されます。
今回の試験は、A棟と呼ばれる五階建。中高層の建物をイメージしています。
試験体は、平面は小さいとは言え五階となると、かなりの大きさです。
試験結果概要
9日には、比較的小さな地震波から入力され10日の公開時には、巨大地震を想定した阪神淡路地震の再現
JMA神戸100%、長辺方向にNS波、短辺方向にEW波が入力されました。
建物は大きく揺れ、最大層間変位が安全限界と言われる1/30を少し超える変形をしましたが、多少の接合部や部材の損傷は、発生したものの倒壊することなく地震にも強い構造であることを実見する事ができました。
▼動画はこちら
30秒あたりで大きく揺れているのが分かります
詳しい実験結果報告は、解析の後、公表されることと思います。5階建の建物が、大きな音で揺れる姿を目の当たりに見て、改めて大地震の恐ろしさを見た思いです。構造設計を担当する者としては、構造設計に妥協は許されないことを再認識できた良い体験でした。
二回目の試験のご案内
このメルマガが届けられるのは、15日頃でしょうか? まだ間に合います
公開試験の見学受け付けは、既に終了はしていますが、ひょっとしたら受け入れてもらえるかもしれません。(一社)日本CLT協会に問い合わせてみて下さい。
ただし、一般公開されるのは、おそらく5階建と同じJMA神戸100%波の1回の加振だけですので約40分位です。三木市の山中まで出かけ、受付開始からだと約1時間近く待って見られるのは、40分くらいですのでそのことはご承知おき下さい。
第二回目の振動台試験概要
二回目の試験は、B棟と呼ばれる三階建 低層の建物をイメージしています。
一般公開日は、平成27年2月18日(水)試験開始は、13時15分~40分頃まで
受付は、同日 12時半からです。
五階建に比べると少し小さいですが、特徴として、先の五階建は、小パネルをボルトや金物でつなぎ合わせ作られており、靭性型の構造設計を行っていますが、この三階建試験体は、大型パネル(短辺方向は一枚もの)で作られていて
強度型の構造設計がなされています。
次号では、振動台試験二回目の概要報告と、「超高層ビルに木材を使用する研究会」のご協力のもと受託した「林野庁委託事業」における2月21日実施する二回目の「二時間耐火床加熱試験」の試験結果速報と、委託事業の成果報告会(H27.2.26 参加受付中)の報告を紹介したいと思います。
(追記)
今回 試験の為に建てられたCLTの試験体ですが、
3月27日に予定している(一社)日本CLT協会のイベント「CLTフォーラム」の会場近くに移設され展示予定です。実物のCLT建築物(試験体ですが・・)を間近にみていただこうと予定しています。是非「CLTフォーラム」にもご参加下さい。近く協会HPにて開催のご案内をUPする予定です。
常務取締役技術本部長 塩﨑 征男