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★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(9)
「揺らした・燃やした・凍えた CLT」
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7月からこの欄への投稿を始めて 早9回目となりました。その間にCLTへの注目は、ますます高まる一方です。私も2月は今年度で最も忙しくCLTの仕事に関わった気がします。
「振動台試験」「床2時間耐火試験」「唐松CLT建て方」などのCLTへの取り組みに参加したのですが、鹿児島の部屋にも千葉の自宅にも帰らない日々を過ごすことになりました。3月に入ってちょっと落ち着いたところで それらを振り返ってみたいと思います。
揺らしたCLT(振動台試験)
もう皆さんご存知と思いますが、兵庫県三木市のE-ディフェンスにおいて、平成27年2月9,10日に5階建・靭性型・中高層モデル、2月17,18日には、3階建・強度型・低層モデルのCLT建築物の加振試験が行われました。
結果としては、両タイプ共JMA神戸(神戸海洋気象台)100%の3方向加振においても倒壊することもなく、その強さを証明しました。
両試験の2日目は一般公開が行われ、全国から300名近い見学者が来場しました。これもCLTへの関心の高さを示すバロメーターと思われます。ただ、2回目の公開日である2月18日はプレス関係者の参加が少なく、やはり5階建の方に注目が集まったのでしょうか?
公開ではお見せできませんでしたが3階建の方が結果としては、注目に値したのですが・・
詳細な結果は、後日 国土交通省から発表があると思われますので、ここでのご紹介は控えることにします。また、来年も実施する?なんて噂も聞こえてきます。
燃やしたCLT(床2時間耐火加熱試験)
こちらは、当社が事業主体となり「超高層ビルに木材を使用する研究会」の協力の下に受託した平成26年林野庁委託事業である「CLT等新たな製品・技術の開発促進事業のうち中高層建築物等に係る技術開発等の促進(耐火部材開発)」の最後の試験である、水平炉による2時間載荷加熱試験を平成27年2月21,22日に(一財)建材試験センター西日本試験所で実施しました。
鉄骨構造である超高層ビルの床にCLTを使用する為には、接合・強度(平成25年度林野庁委託事業で研究)と共に耐火性能が要求されます。
図のように梁や柱では階数によって1,2,3時間という耐火性能が要求されますが、床の場合には、2時間の耐火性能を有すれば超高層ビル(何階になっても)使用することが出来るのです。
加熱試験は、左の写真の水平炉の上にCLTの試験体を設置し、炉内をISO834に定められた標準加熱曲線に準じて加熱されます。
2時間の加熱での最大炉内温度としては1050℃位まで上がります。
今回の試験では、実際の性能評価試験と同じ方法として上面にも被覆(放熱状況を実際と同じ条件とする)、そして令第85条の事務所同等2,900N/m2 を等分布荷重として載荷しての試験としました。
この錘も当社で自主製作
95kg×30sets = 2,850kgでした。
今回は「被覆タイプ」の耐火仕様です。被覆材の仕様についての詳細は控えさせていただきますが、施工性・価格・軽さを求めて事前には、十数回の要素試験を実施し今回の本番に備えました。なんせ、2体を上記仕様で加熱試験を行うだけで、試験費・試験体(材料・組立・廃棄)だけで数百万円かかりますから、一発勝負って訳にはいきません。
結果はと言うと・・・
左写真の通り、被覆材の下のCLTの表面には、炭化や変色、また最外層から直接止め付けたビスの熱橋による焦げも無く、性能評価であれば「合格」という結果となりました。
写真は1仕様の結果ですが、もう1体別の仕様での
同試験においても「合格」内容の結果となりました。
まずは、これで超高層ビルに木材を使用しようという試みの第1stepである「床材」の最低限の仕様を確保したことになります。次には、鉄骨材への止め付け、施工方法、コストなどの検討項目が残ります。一部は、今年度の研究において机上とモックアップでの検証は進んでいますので、更に来年度詳細な検討の上で一日も早く、日本で、いや世界で初めて?の高層ビルにCLTを使用する建築物の実現に向けて頑張っていきたいと思っています。
余談ですが、今回の加熱試験終了時間に合わせ委託事業の委員会を開催したのですが、実は事前に結果としての「合格」を祈願(予定)して懇親会を計画していました。
同試験所は山口県にあるのですが、この季節 山口と言えば、もちろんこれ!
~ フグ・河豚・ふく ~
煮凝り、茶わん蒸し、唐揚げ、てっさ、てっちり、雑炊&ひれ酒、試験合格結果とこの料理に大満足な一日でした。
このお店を探して予約してくれた事務局Mさんは当日、体調を崩してしまい参加できなかったのですが、せめて写真だけでも送ってあげたらと言っていたのは、当メルマガで有名なM田次長でした。
(残念!美味しそう!事務局M)
凍えたCLT(唐松CLT 施工見学)
以前より北海道では道産唐松材の利用に向けての推進がなされており、すでに構造用集成材での公共建築物への利用は進められています。CLTへの唐松利用も早くから取組がなされ、道庁・道林産試験場・民間として物林(株)が協力して強度試験が繰り返された結果、我が国最初の唐松CLTによる建築物が建設されることとなり、2月25~26日CLTの施工が行われましたので、視察に行ってきました。
建設現場は、協同組合オホーツクウッドピアさんの敷地内にセミナーハウスの用途としての建設計画です。施工見学には、道内はもちろんのこと東京からも大勢の見学者が集まり、注目を集めていました。当日の天候は、小雪時折晴間も見えるという穏やかな1日でしたが、前週は(この見学会の翌日も)道東地方は大荒れの天候だったらしく、日頃の関係者の行いが良かったのか?予定通りに実施されました。
当社では、杉のCLTを作っていますが、
唐松CLTは色調・節などとても綺麗な
材料でした。これで強度が杉のMx60
対してMx90と強度が高く、今後期待される材料と思います。
ただ 集成材でもそうでしたが、唐松という材質の特徴とどのように向き合っていくのか、今後の研究者・製造者の皆様の研究に期待します。
研究報告会、セミナー 目白押し
今年度の最終月となり、今月にはCLTに関するセミナー、報告会や展示会が数多く開催されます。既に終わってしまったものもありますが、まだ間に合うものもありますし、前述E-ディフェンスの試験体実物展示などもあります。興味のある方は、是非
ご参加下さい。下に今後のセミナー等をご紹介します。
1. CLT フォーラム 日本CLT協会主催 3月27日 東京ビックサイト 詳細・
申込みは下記より
2. 住まいの耐震博覧会 株式会社ナイス 3月27日 東京ビックサイト 詳細は
振動台試験体 展示有
常務取締役技術本部長 塩﨑 征男