メールマガジン第23号>役員挨拶

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★役員からのメッセージ   常務取締役 塩﨑 征男

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権限と責任について再認識ができた「新国立競技場騒動」

残暑お見舞い申し上げます。

毎日暑い日が続いていますが、熱中症には気をつけて十分な水分・塩分補給をして夏を乗り切りましょう。

 

さて、大げさなタイトルを書いてしまいました。当然この問題にも私たちが知らない諸事情も有ると思いますが、テレビや新聞で見られる中での私見というか考えさせられた事について書いてみることにします。

 

責任、権限と義務

企業に就職した後、本人のキャリアや人望に応じて、リーダー(主任)⇒係長⇒課長⇒部長と職制は上がっていき、職に応じた権限(権力ではありません)が与えられます。ここで権限を持つ事で生じるのが「責任」だと考えています。

 

通説においても『権限と責任は、組織上の目的や目的のための様々な目標を達成するために、組織活動にとって必要不可欠な要件で、職務において、「義務」、「責任」、「権限」は、三面等価の関係にあり、職務を与えられれば必然的に義務と責任を負い、その義務と責任を全うするために職務遂行の権限も同等に与えられなければなりません。これを「権限・責任一致の原則」といいます。』と言われています。

 


例えば、企業において新しいプロジェクトを進めると決めた後、そのプロジェクトに対して社外から批判、中断の強い要望が出された時の対応について今回の問題においての答弁に置き換えて考えてみたら・・


開発者(提案者):私はデザインを選考しただけ。何でそんなに高くなるのか?判らない

担当窓口(実施者):私は上司に言われた通りやっています。

担当責任者(部長級):社長が言った通り進めています。

社長(最高責任者):決めたのは 前の社長だ・・

などと長い期間にわたって社外の批判に対して、強行してきたプロジェクトなのに他の事情(会社の存続に関わる等)の社外の意見が強まってきたら1週間もかかることなく即座にプロジェクトを中止して見直しとなるという結末。


メディア等のように責任者は?とベタなことを言うつもりはないのですが、この例の場合だと 企業としたらどうなるのでしょうね?

この例のような大きな課題ではないにせよ、私たちの会社においてもリーダー・係長・課長・部長等の役職に応じた権限には責任があることを皆が認識出来れば、より一層盤石な組織となっていくと再認識をした次第です。


責任とは?

私は、責任とは「リスク」でもあり、事が起こった時には、それに対応し終焉させることだと思っていますが、最近よく聞く「責任をとる」という意味は「辞める」と同義語のように使われている気がします。職制における差はあると思うのですが、特に権限・責任の大きな立場にいる場合には、辞めるなら簡単に辞めると開き直るのではなく、きちんと起こった事象を終焉させてからにして欲しいものだと思います。

 

またこうした「責任を取る=辞める」という考え方を若い人が、間違って理解しても困ります。

次の話は、私が入社した時の上司の話の受け売りではあるのですが、「責任をとる」とは「懲りる」ことだと言われました。先に書いたように、責任を取って辞めるということをその上司が望んでいるはずは無いと思っています。数年かけて育て、かつある程度の仕事を任せられる社員に辞めて欲しい訳はないと考えるからです。


失敗や間違いを望んでするはずもなく、十分な注意をしていてもおこってしまった時には、

「責任を取る」⇒ 懲りて二度と同じ過ちをおこさず、その損失を挽回する。という考えだと、昔、教えていただいた事を思い出しているこの頃です。

「責任を取る」⇒「辞めろ」という上位者がいたら、まぁ自分の保身から言っているのでは、ないでしょうかね?


本来の目的が基本では?

このへんになってくると、段々と穿った考えになってくるかもしれませんが、国立競技場と言うと1964年東京オリピックのメイン会場、国際スポーツ大会の会場、高校サッカーにおける甲子園など競技者における聖地。武道館は、同様オリンピック施設で武道における聖地。この二つの施設の本来の建設目的はスポーツ施設だったのですが、今般、国立競技場、武道館と言えばアーティスト達の甲子園のように使われることが多いのは、興行収益が高いという理由も上げられます。

国立競技場
国立競技場
日本武道館
日本武道館

今回の新国立競技場建設にあたっては、競技場という目的の他にイベント会場としての位置づけも先に置かれていたのでは・・と思ったりしています。

計画見直しの段階においても開閉式屋根、キール梁などの中止が言われイベント会場としての要素が削られました。またその後には、ゼロベースからのスタートとなったわけですが新案では、スポーツ競技場としての施設としての機能に特化したものが選ばれれば良いなと考えています。まずは、本来の目的ありきです。


IOCのバッハ会長の発言で、「大事なのは選手や観客のために、20年にスタジアムが完成していることで、デザインは重要ではない」というのが、ありました。前段は私も同意見なのですが、せっかく大金をかけて作るのなら・・見た目も良いものが良いなと 多少の希望も持っています。

(常務取締役技術本部長 塩﨑 征男)