メールマガジン第24号>役員挨拶

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★役員からのメッセージ   代表取締役 佐々木 幸久

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5月1日に実施した当社「方針発表会」において、私の年度方針を述べました。

そのときの原稿に若干の加筆をしたものを以て今回の役員メッセージとします。


平成27年度 年度初めに当たり

木造緩和から木造推奨の時代へ 時代の波に乗る

二十数年前から木造緩和の動きが始まる

 我が国では戦後、基本的に一定規模以上の広さの木造建築は制限が多く、実質的に戸建て住宅規模以上の木造建築は不可能に近い状態にありました。二十数年前から、日本とアメリカの政府間交渉として、木材需要拡大の動きが始まりました。

 即ち我が国が行っているこれらの制限を取り払い、大型木造建築の解禁により木材需要を拡大させるというものです。当時国内では資源量から木材供給力に限界があるのは明らかでした。木材需要が増加すればアメリカなどから買うしかない状況であり、端的に言えば、資源に富む者のーによるまことにえげつない圧力でした。

 しかしながら林材関連の研究者や一部業界にとっては、これはもっけの幸いであり、呼応して様々な活発な動きが始まりました。


事業の柱がふたつ有ることで事業の安定化に貢献

 今年は当社が非住宅木造建築(大断面集成材)事業の工場建設をスタートして25年目に当たります。もともとの家業である製材業はその用途が殆どは住宅向けであり、住宅が好調であればそれにつれてそこそこ好調でありました。もし住宅が不調になれば、木材取扱量も減りますが、同時に価格相場が大きく下落して、数量減 × 価格減の、ダブルパンチの不況風が吹きます。

 当時国内経済は全体的には上り調子で、住宅も概ね右肩上がりでしたが、その分円高基調が続き、相対的に国産木材業界は厳しいものがありました。木材業界で当時、自嘲的に「10年我慢して1年息をつく」と言う程の不安定な事業運営でした。

 また鹿児島材のブランド力はどちらかと言えば弱く、地域的な制約からも都市部へ打って出るのは困難に思えました。

 このような中で、閉塞状況を打開するために、木造緩和がもたらす大型木造建築、主として非住宅木造建築事業を我が社事業の第2の柱と位置づけて取り組んだのです。この分野は住宅の景気の波とは少し波長の違う需要構造であり、住宅分野と非住宅分野との2つの柱のおかげで、事業の安定感は高まりました。

そして当初は大断面集成材にのみ認められていた大型建築でしたが、現在では法律も変わり、製材もたくさん用いられています。だから以前は製材=住宅分野、集成材=非住宅分野と仕分けられましたが、今では相乗りです。集成材も住宅分野にある程度使ってもらっています。


時代は「木造推奨の時代」に動いている それに向けた取り組み

 主としてアメリカの外圧により押し切られて、政策変更を余儀なくされた「木造緩和」には、消極的な語感が伴います。事実緩和策は毎年逐次少しずつ行われ、その政策変化は私達の目には極めて抑制的に映りました。

 一方最近の国の動きは、これまでと打って変わって、事態を打開しようとする積極的な姿勢に転じています。これを私は、国は「木造緩和」から「木造推奨の時代」に入ったと見なしています(メルマガ27年元旦号参照)。

 当社はこのところCLT、SAMURAIについての技術蓄積と供給体制の整備とを計ってきました。これからの事業開始になると思いますが、これらの新技術、新材料は住宅分野にも、また非住宅分野にも応用できてその性能向上に貢献するものと自負しています。

 と同時にこれまでの進捗状況から、従来と全く異なる新しいコンセプトの事業分野を構築することも可能であると考えています。


第3の柱「非木造建築の木造化事業」

 一昨年福岡大学稲田教授の元に、主として九州内の研究者達で「超高層ビルに木材を使用する研究会」を発足しました。そしてその活動は、多くの賛同者と評価を得ました。まさに「木造推奨の時代」の社会背景によるものでしょうが、林野庁の委託事業公募に際し応募、幸いにも「接合」と「耐火」の2テーマが採択されました。この研究により様々な課題が解決し、高層建築の一部を木造化する道筋は出来たものと思います。まさに従来は考えることさえ難しかったことが、技術上は実現する可能性が出てきたのです。


即ち次のような建物

  1. 超高層ビルの一部(床、壁など)
  2. 4,5階建てのビル、共同住宅の一部、もしくはすべて
  3. 大型商業施設の一部、もしくはすべて
  4. その他従来木造で考えにくかった建物等の一部、もしくはすべて

 これらの従来木造で作ることを考えもしなかった建物、すなわち「非木造建物」を木造化する(すべてもしくは床壁などの一部)ことが可能になろうとしているのです。私達はこれを「非木造建築の木造化」事業と名付けて、当社第3の柱にしたいと考えます。


即ち以下3つの事業分野を持って、これからの「木造推奨」の時代において、着実で持続的な発展に向けて努力したいと考えるものです。

以上述べてきた3つの柱を以てこれからの当社事業分野とする


第1の柱  住宅用部材事業 分野  

創立以来の永年の事業であり、山佐グループ各事業の原点。


第2の柱  非住宅木造建築事業  

平成2年より準備し、来年度が創業来25周年。我が社発展の原動力となった。現在でも収益の源泉。


第3の柱  非木造建築木造化事業 

昨年度来準備を進めてきたが、今年度が初年度となり、二年後には本格的に事業化できるよう取り組む。


(代表取締役 佐々木 幸久)

今年度方針発表会にて
今年度方針発表会にて