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★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(19)
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CLT元年 明けましておめでとうございます
新年あけましておめでとうございます。
今年も頑張ってCLTに関する情報やトピックスをUPしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
CLTに関しては、既にJASでは規定されていますし、日本全国には既にCLT建築物が50近く建てられています。
ただ今までは、特殊な設計法や実験での確認が求められていましたが、今年早々に出されるであろう基準強度告示・設計法告示が揃い、誰でも一般的に設計ができて建設が出来るようになってこそ、本当の日本におけるCLT建築のスタートと言えるのではないかと考えています。
その時が、来た時にきちんと対応が出来るよう当社でも準備を進めなくてはいけません。
例えば、構造設計をするに利用する解析ソフトですが、何が入力し易いかなといろいろ検討していますが、普段使っているMidas-iGen とSNAP を使い比べてみると壁の解析では、SNAPの方が扱い易いかなとか、接合部のバネなど判っているものは、DATA-BASEに登録しておこうかなとか 今、出来ることを一つ一つ準備を始めています。
ちょっと心配なこと
ただ杞憂に終わると良いのですが、まず基準強度がどのような出され方になるのかが、気になっています。
CLT工法で建物を構成する時には、今まで建てられてきた建物を見てもそうですが、壁と床(屋根)が必要です。それらに使用されるCLTの規格としては、3層3プライ、5層5プライと7層7プライ等が必要になってきます。
設計法が、告示として出される時に少なくともそれらが揃っていないと ①告示が出ている区分だけでの利用? ②出ていない区分を使うときは、やはり時刻歴応答解析? と心配していますが、考え過ぎでしょうか?
*全てとは言いませんが、設計法が出る時には3-3, 5-5 ,7-7 は欲しいですね
またCLTの設計法についても 心待ちに事前準備・勉強をされている方は、多分それなりに設計対応が出来ると思うのですが、その前に確認申請機関の方々の審査は事前に勉強会でも開かれるのかな?と・・・ 確か許容応力度設計(ルート1)も出ると聞いているので、適判にいかず直接、確認申請機関に出される場合もあるのではと・・?
心配性の私としては、ついつい考え過ぎてしまいます。
確か40年前だったと思うのですが、新しい構法として「枠組壁構造」いわゆる2”×4”工法が世に出た時には、どのような広がり方をしたのでしょうか?まだ私もこの業界に入る前だったので、知っている方がおられたら 是非、お教え下さい。まぁ余り考え過ぎ無い方が良いかもしれませんね。当社では、これからも着々と準備を進めることとします。
いよいよ山佐木材(株)試験月間のスタートです
先月号で少しお伝えしましたが、平成28年1月から2月にかけて、各種試験が目白押し。
まずは、1月18日には、3つの試験がトリプルブッキングです。
① CLT床2時間耐火性能評価試験
昨年度末に行った上面加熱試験の合格に引き続き、性能評価試験でのクライマックス下面載荷試験が18日~20日の性能評価機関様の製作立ち会いから始まり、25日~28日にかけて(一財)建材試験センター/西日本試験所で加熱試験が実施され、合わせて27日には、林野庁委託事業の委員会の開催を予定しています。
←合格した 上面加熱試験
加熱側CLT表面温度は150℃にも達していません。
② 当社の試験ではないですが、日本CLT協会での E-ディフェンス振動台試験
1月18日・19日と 1月25日・26日に予定されており、協会事務局のお手伝いも出てきます。
*実験概要は下記PDF参照して下さい
③ 遮音試験
CLT床の遮音性能の測定は、日本CLT協会のWGにおいても進められていますが、鉄骨構造を想定してCLTに被覆材を配した当社仕様における性能も確認をすべく、1月18日~28日まで(一財)日本建築総合試験所において被覆材の基準仕様に加え、様々な床・天井を組み合わせての遮音性能の測定を行います。
④ 施工性の確認
昨年CLTの鉄骨構造への施工性の確認を行った鉄骨モックアップを再利用して、耐火被覆材の施工性の確認を行います。現場で全て施工する場合と一部を工場でプレファブ化した場合など、施工性が利用に向けての大きな鍵となると考えています。
現在、梁天端がGL+1300のモックアップをGL+3000まで嵩上げ工事を1月7日より開始。2月初旬より、天井被覆材と床被覆材の施工性の確認を行います。
*写真は嵩上げ工事中のモックアップ(階高GL+1,300をGL+3,000の高さに変更)
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2月末には、完了したらその被覆材の止め付けられたモックアップを利用して「歩行振動」の測定を実施(これも日本CLT協会のWGでも継続しています)。あと最後に、2月15日~19日 (一財)建材試験センター/西日本試験所において、他の2つの事業に絡む、CLT面内せん断試験の数種類実施を予定していますが、技術本部だけではとても対応出来ず、社内の応援をもらって実施の計画を進める予定です。
ちょっと早いですが、お知らせです
今年度も東京にて林野庁委託事業の成果報告会を予定しています。今日の社内会議で確認したばかりのHot Newsです。3月3日(木)木材会館で13時頃~17時頃(予定)とその後、懇親会を予定しています。
詳しくは、来月のメルマガで公開・募集を予定しますので、是非ご参加をお願いします。
*昨年の成果報告会の模様です。今年も同じ会場です。良い発表が出来るよう、1月の試験頑張ります!
ただ、同じ日、同じ時間そして場所もすぐ隣りで、別の林野庁委託事業の成果発表会も開催される予定みたいです。ひょっとして 新木場の駅前で客引きをしなければならないかもしれませんね(笑)
ひとりごと
「見せたい! 見えなくても良い!」
この話は、CLTに限らず 集成材等の建物でもよく議論される話題ではあります。
戸建て住宅や2”×4”工法では、造作材の木質化を除いては、あまり構造躯体である「木」を見せる・見せないと議論される事はないのですが、非住宅、特に公共建築物等では、「折角、構造を木造にするなら見えるように」という要望が高い傾向にあります。
その考えについて良いとか悪いとかの話ではなく、建物が大きくなればなるほど、構造躯体の木を見せるのは大変になってくるのは、皆さんご存知の通りです。
準耐火構造の場合には、「燃え代設計」という設計法で決められた時間の間、火災が継続しても倒壊しなければ良いのですが、耐火構造では、火災終了後に躯体が燃えることなく建っていなければなりません。昨年は、CLTの燃え代設計法について建築基準整備促進事業に取り上げられ、近く告示化されると思います。耐火構造においては、数社が木を現した集成材で耐火認定を取られていますが、CLTにおいても今後、現しでの耐火構造をという要望は出てくるのでしょうか?
CLTは壁・床を構成しますので、どうしても表面積が大きくなり一旦火災となると燃え広がり易いような気もしますし、それを燃え止まらせるとなるとどういった方法があるのかなと考えていました。表面を不燃化して燃えなくする?⇒含浸処理で可能か? 表面に燃え代層と次に燃え止まり層を配置する⇒ 長期荷重に必要な断面+4層が必要。そこまでして見せなくても・・・なんて堂々巡りです。
『平成22年に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」という法律がありますが、中には「木材を見せる」という文章はなく、国産材をたくさん使いましょうという主旨の法律です。』と私は営業に行った時に話すことがありますが、それでもやはり「見えなきゃダメ」というお客様が多いようです。折角の木造だから木の構造躯体は、多少コストがかかっても意匠的に見せたいとか、見えなくなるなら鉄骨でもいいのではとか、いろいろ考え方は違っているので結論めいた話にはなりません。
現在、検討を進めている床2時間耐火構造の着手当初には、燃え止まり型の案もありましたが、今はまず被覆してでも耐火構造に使えるように。その後、要望が高ければ再度検討すると割り切っている現状です。
今後、開発・設計を進める上でも、皆様のご意見などコメントをいただければと思います。
次回は、何をつぶやこうかな?
CLTでは無いけれど、「一般流通材(製材・集成材)」利用に対応した時のメーカーとしてのボヤキ・・なんてどうでしょうか
常務取締役技術本部長 塩﨑 征男