渋柿会鹿屋支部
今月は干支にちなんで「猿」を句題としてみました。
青字は読み方です。声に出して読んでみましょう。
分からない方は近くの鹿児島出身者に読んでもらいましょう!
(注)若い人は鹿児島出身者でもなかなか読めません
良う見たや 何処か亭主し似た 猿ん顔
ゆうみたや どっかてしにた よもんつら
唱 良う見らんでん 丁度似ちょっ
まげもんじゃっち はずかかされっ
田中 末木
【解説】結局、亭主の顔が猿に似たのか、猿の顔が亭主に似たのか迷ってしまいます。
猿んよな 赤子を褒めたくい 産の見舞
よもんよな こをほめたくい さんのみめ
唱 将来ちゃ総理か 大臣じゃろち
やがちゃ どうりか だいじんじゃろち
川村 三生
【解説】めでたいお産の見舞いともなれば、たとえ赤子が猿に似ていようと褒めまくって、その場を取り繕う必要がありましょう。相手を「褒めたくっ」でその様子が浮かんできます。それにしても近頃の子供の名前の読みにくいこと・・・。
寄い正月 爺ん猿真似で 座が賑ん
よいしょがっ じんよもまねで ざがはずん
唱 初めっ見った 爺ん裏芸
はしめっみった じじんうらげい
山下 明良
【解説】『寄い正月』とは分家の一族が本家に参上して新年の祝賀を申し述べる古い習わしですが、最近は見聞しなくなりました。この句は酒席の爺様が孫たちにも乞われて、つい猿真似を披露し、賑やかに座が盛り上がっていると詠んだものですが、かねて厳格な爺様との対比が面白いと思います。
★解説は渋柿会鹿屋支部の有川南北氏にいただきました。
★写真:山佐木材写真部