━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(21)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
予定より早く使えそうです
2月8日 「CLTパネル工法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件等」に関するパブリックコメントが出されました。
3月8日まで意見募集の後、法文作成がなされ公布・施行が平成28年4月ということです。
以前聞いた話では、設計法・基準強度はH28年度早々⇒下期にはならないだろう・・・程度の時期を予想し、日本CLT協会では、その時期に合わせ「マニュアル」作成工程を組んでいたので この早まりに大慌てです(笑)
もう皆さん、おおよその内容について理解されたでしょうか?
大きくパブリックコメントでは
1. CLT工法設計法が定められます。
許容応力度計算、許容応力度等計算、保有耐力計算と限界耐力計算でのCLT工法の設計法について定められます。
2. CLTの基準強度が定められます。
樹種については特に書いていませんが、記載されているラミナ強度からすると杉ですね。
3. CLTが燃え代設計で使えるようになります。
ただ 使用環境A,Bと書かれているので 水性高分子イソシアネート(API)は、まだ使えないということです。
早期の同等性確認の方法の確定と受付をして欲しいものです。
ちなみに山佐木材では使用環境A,Bの認定も持ってはいるのですが、現状だと接着剤の硬化時間に時間がかかるので、APIで作りたいですね。
設計法については、このパブリックコメントだけでは、なかなか判りづらいかもしれませんが、告示として出された後に、色々な解説書が出てくると思われます。
今まで各地での時刻歴応答解析で建てられた建物や振動台試験で採用された接合金具が設計法においての接合具のBASEとなっているのでしょうが、新たに別の金物の使用を検討するには向けては、大きな課題(おおげさ?)があります。ルート2以上の設計に使用する引張金物には40mm以上 かつ当該部分が10%以上伸びる・・と書かれています。
30mmは達成しているのですが、う~ん 後10mmか・・・と
またちょっと考えてみることにします。
右の写真は、かごしま木づかい推進交付金事業で検討を進めていたCLTの接合金物の試験です。来年度の目標の1つにすることとします。
告示施行された後 九州地区の皆様でCLTの設計法・基準強度・防耐火等に関する説明会などお考えでしたら 是非、お声掛け下さい。
催し物が続きました
2月末から3月初めにかけて、いろいろな催し物が開催されました。
1. 第4回CLTフォーラム
平成28年2月26日(金) 東京都千代田区の一ツ橋ホールで開催されました。
昨年度実施していた「CLTアイデアコンテスト」の入賞者表彰式、設計・施工事例の報告の後東京大学名誉教授の坂本功先生と、グラーツ工科大学のシックホッファー先生との座談会も行われました。
2. 山佐木材(株) H27年度林野庁委託事業 成果報告会
平成28年3月3日(木) 東京木材会館にて開催
このイベント紹介は、本メルマガでも紹介されるでしょうから、ここでは省略することにします。
3. 木材防腐工業会 H27年林野庁委託事業 CLTの耐久性事業 成果報告会
平成28年3月3日(木) 新木場ホールにて開催
実は、2 と3は同じ日に隣のホールで開催され、また懇親会も隣のお店・同じ時間でした。
私も日本CLT協会の担当として、こちらの委員会の委員でもあったのですが、自社の成果報告会を優先させていただきました。申し訳ありませんでした…
で・・ こちらで発表される委員の方にも当社報告会の配布資料を取りに来ていただいたり、懇親会にも顔出ししていただいたりしたのですが、偶然とは、言えびっくりでした。お互い参加者の取り合いをしてしまったかな?
4. CLTの可能性 普及への課題と展望
(公財)日本住宅・木材技術センター・木構造振興(株)の「CLT実証事業成果報告会」
H28年3月9日(水) 豊洲シビックホールにて開催
当社は、来年度にCLTの工場を新築する計画を立てていました。耐震壁へのCLT利用も床への利用とは別に考えています。
結論 「鉄筋挿入集成材(SAMURAI)とCLTで工場を建てよう!」と考えて 本事業を受託しました。
報告会は、300名申込み定員に対し あっと言う間に埋まったと伺いました。
当日は、事業の成果報告と実証事業とパネルディスカッションに私も参加しましたが、無事に大役を務めることができました。
当日の配布資料だけでも、参加できなかった方にみていただければ・・・と UPします。
来月号では 告示の内容について・・
さて来月号の出るころには、先に書いたCLTに関する告示が施行されていると思います。
まだ、CLTの全ての樹種・強度区分(○層▲プライ)が使えるまでには、もう少し時間がかかるとは思いますが、まずは第1歩。予想より半年近く一部でも使えるようになったのは、研究者の方々や行政担当者の作業の努力とCLTに対する期待の表れではないでしょうか?
来年度、山佐木材で検討している事業
① SAMURAI & CLTで新工場を建てる ⇒ 杉 5層5プライ
② 鉄骨構造の床CLTの利用の実物件検討 ⇒ 杉 5層7プライ
で計画をしていました。当初より「時刻歴応答解析」&「建築センター評定」を覚悟していたのですが、この告示施行により実現に向けて作業も楽になりました。
書ける範囲で、極力簡単に来月号では、今回の告示内容について書いてみたいと思います
常務取締役技術本部長 塩﨑 征男