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★【シリーズ】バイオマスについて(28) 代表取締役 佐々木幸久
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和歌山の林業、木材産業を見る
このほど縁あって、和歌山の林業、木材産業の一端を視察することが出来ました。和歌山市在住新永智士氏のご案内で、氏の職場であるマルカ林業様の山林、及び高名な田辺市の山長商店様の視察が出来ました。山長さんは自身も広大な森林経営を行っておられますが、今回は時間の制約で山には行かず、製材、プレカット工場を見せて戴きました。
新永智士氏のこと
新永氏は鹿児島市鶴丸高校から京都大学農学部へ進み、大学院を修了後、三菱総研にて数年勤務した後、現在はマルカ林業の2500haの経営の一端を担う実務者です。併せて森林学会などで意欲的な研究成果や論考を発表している、新進気鋭の林学研究者でもあります。
実は氏の名前は、一度このシリーズに登場しています(メルマガ15号のシリーズバイオマス)。京都大学農学部大学院時代に、現場の緻密なリサーチにより、伐採コストは立木の径級により大きく異なり、径級が大きくなることで生産性が向上、コストは大幅に低減していくことを実証しました。
人吉の泉林業泉忠義氏の「単木材積1m3以上なら、出材コストは1m3当たり2000円~2500円で可能」という言葉とよく符合します。
これらの事実は、儲かる林業のためには不可欠の切り口で、林業について意見を述べるときには再々引用させて貰っています。
和歌山林業の特色 マルカ林業様の山林を見る
マルカ林業様の森林は、和歌山林業の一典型でありその代表格と思われます。主としてヒノキ、スギの80年生から150年生の高齢級材の生産を行っており、50年前後で伐採する九州の林業とは様相を大きく異にします。
オーナーは2500haの森林を経営しており、うち40%の山が15齢級を超えています。別途に京都大学の演習林としても多大の面積を、永年無償提供しておられるとのことで、昔の旦那衆の肝の太さ、また大学など最高学府への驚くべき信頼に感銘を覚えます。戦後の税制を含む諸制度はこれら善意の行為に対して温かく接しているのだろうかと気になりました。
山長商店様の経営戦略
長伐期高齢級優良材生産を旨とする、和歌山林業の木材利用としてはまさにこの方法しかあるまい、と思われるやり方を山長商店さんは取っています。年間1000棟のプレカット加工を引き受けており、これが全体の売り上げの70%を占めています。顧客と山長さんの間合いは絶妙で、しかもそのやり方は巧妙を極めています。
その基本的な特徴は次の通りです。