━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(22)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
待ちに待った CLTの告示
すでに皆さんご存知のように CLTに関する設計法・基準強度・防耐火に関する告示が、平成28年3月31日と4月1日に施行され、官報にも掲載されました。
今回の基準強度に関しては、一部の樹種と区分ですが、この後続けて告示化され、いずれは、JASに掲載されている全ての樹種と強度区分が告示化されていくことと思います。
今回施行された告示によってCLTを使用して何が出来るようになったのか、先に書いたように今回使用出来るようになったのは、杉5層5プライ、5層7プライの基準強度を使ってという条件付ですが
材料としての計算は別として、CLT工法の設計が直ぐに対応出来る方は、まだ少ないと思われますので、今後出されるであろう解説書での理解や講習会の参加による研修などによって急速に皆さんが設計できるように広がっていくことを期待しています。
より早くCLT工法での建築が出来るようにと 日本CLT協会では、「一般認定」を検討・申請をしていましたが告示と同時に認定を取得しました。これによって、内容に合った条件内での建築が、複雑な構造計算をせずに建てられることとなります。詳細は、日本CLT協会HPをご覧ください。
しかし告示として決められているのは、設計法・強度・防耐火に関してだけであって、それだけでは、建物としての設計は出来ません。標準的な仕様、接合、納まり、耐久性、材料、施工方法他にもまだまだ検討してデーターを増やしていく必要があり、そうした活動は日本CLT協会においても一昨年より進めてきました。今の検討内容が最終・最良という訳ではなく、一つの事例・方法として会員の皆さんにご紹介するイベントが、予定されています。
まだ協会HPでの公募前ですが、5月30日都内において、協会の技術部において進められてきた各WG活動の報告「(仮)技術報告会」の開催を予定しています。GW前に協会員の皆様には、公募の連絡がなされると思いますので、是非、ご参加下さい。
CLT実験棟 完成見学会
4月7日(木)、8日(金)の2日間 完成見学会が催され CLT協会スタッフとして参加しました。
見学会開催概要は下記の通り。
7日は、一日中冷たい雨が降り続く中、11時より国会議員・行政・報道関係や両協会の理事・幹事及び関係者の出席の元、全体説明を含むセレモニーを始めとして見学会がスタートしました。両日、8回の見学会を設定し 各回80名程度のグループでの見学会は、当日参加者や研究者の参加により総勢700名ほどの方にご参加いただき盛会のもと終了しました。
2”×4”建築の高層建築における構造・耐火の技術、CLTパネル工法を意匠的に使用した対照的な建築物ではありましたが、見学者の方々は各回の予定時間を過ぎても熱心に見学をされていました。
どちらに興味をもたれたのでしょうね?
6階建 2×4実験棟 CLT実験棟
見学前の事前説明 CLT実験棟玄関
事前説明では、日本CLT協会、日本ツーバイフォー建築協会の担当者による建築概要の説明と2つの協会の実験棟における共同研究を締結した国立研究法人 建築研究所の槌本氏より今後10年間をかけて研究調査を行う内容についての説明がされた後の見学であった為、見学においても注意して見て欲しいポイントなどが、良く判ったと思います。
さっそく当日のテレビでもニュースで流されていました。
その他 山佐木材トピックス
今月は、CLTに関する2つのトピックスを報告します。
1.床2時間耐火構造の大臣申請を提出
1月25日・27日の両日の試験合格、2月9日の性能評価部会の承認を経て、(一財)建材試験センター様に申請代理を委任し書類を作成していましたが、4月4日国土交通省に申請し受領いただけました。後は認定を待つだけとなりました。2カ月後くらいでしょうか、取り組んでから1年と10カ月 長かったのか?早かったのか?(笑)
2.山佐木材CLT工場新築に向けて 日本建築センターへ評定を申請準備開始
平成27年度木構造振興・日本住宅・木材技術センターによる「CLT実証事業」において取り組んだCLTとSAMURAIを使用した工場建築計画ですが、実際の建設に向けて個別認定を取得すべく申請準備をはじめました。
CLTについては、今回施行された告示により、時刻歴応答解析は不要となりましたが、
SAMURAIが現状では、指定建築材料ではないため時刻歴応答解析での構造設計です。
ただ、昨年度そして今年度も継続されるであろう「異素材」と木質材料を組み合わせた材料についての検討がなされています。その検討においてSAMURAIの挙動は、ほぼ計算で対応できそう?という話も聞こえてきており、来年度辺りには個別認定の申請が出来ることを期待しています。
来月号では、4月に施行された告示への取組や各実証事業での動きに注目して情報をお届けしたいと思います。
常務取締役技術本部長 塩﨑 征男