メールマガジン第35号>社長連載

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★【社長連載】 Woodistのつぶやき(3) 

  非住宅木造建築事業のこれまでと今後について考える

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建設業のスタート

 当社は今年10月、非住宅木造建築事業を始めて満25年になります。それまで木造住宅用の製材部材(構造材と造作材など)供給が主たる仕事でした。

 製材工場に加えて新しく集成材工場と、建設業が加わったのです。建設業許可を受けるときは、「一般建築工事業」、「一般土木工事業」、それに加えて「大工工事業」、「とび土工」も必要であると言う声があって、一緒に申請しました。同時に設計業務も必要であるとの認識で、設計事務所の登録も申請しました。

 

最初の仕事は元請け工事

 一番最初の仕事は平成2年11月に着工した自社の工場建屋で、現在プレスが置いてある2号棟です。引き続き1号棟、3号棟と継続して建設してきました。補助事業ではなかったので、自社で施工できました。この時は「一般建築工事業」鹿児島県知事許可業者の資格で行ったものです。

2号棟
2号棟

 

 そして外部の仕事の第1号は城山観光ホテル様の「レストランホルト」でした。この時は設計も自社で行いましたから、鹿児島県知事登録「山佐木材一級建築士事務所」の資格で設計し、確認申請を提出しました。工事については「一般建築工事業」の資格で、元請者として直接同ホテル様と平成3年契約、3月には着工し同年9月完成に至りました。 

レストランホルト
レストランホルト

下請け工事が事業の基本

 このあと平成3年度内に受注した他3件の仕事は、すべて町発注(開聞町、佐多町、高山町。当時)でしたが、いずれもその町指定の元請建設業者が受注しました。当社は専門工事業である「大工工事業」の立場で、元請け会社と契約施工したことになります。これから後もこのスタイルが当社の本流になります。

 そしてそれから25年がたち、これまで施工してきた案件は大小1000件をはるかに超えると思います。その大半が下請け工事で、建設業法の職種として「大工工事業」者として過ごしてきました。

 

専門工事業である「大工工事業」

 当社はこのように非木造建築の木造部分を「大工工事業」の資格で担ってきましたが、普通に大工さんと言うときは住宅建築に携わる木造建築のプロたちのことを呼んでいます。

 現に当社で以前、大工さんたちに体育館や学校校舎などの「非住宅」物件の作業を手伝って貰っても、住宅で使う規矩術のような技術は全く通用せずに、コンピューターから打ち出した加工図をあてがわれて、時にチェーンソーを使ったり、大きな金物を使い、「化粧面」などに配慮もしない材料や加工に違和感が拭えないらしく「もうこりごり」で、1回こっきりというケースが大半でした。

 

 そして「大工工事業」で要求される資格は、厚生労働省職業能力開発局が行う「建築大工技能検定」で、これは中々難しく価値ある資格なのですが、あくまで住宅向けの技術・技能を問うものでこの仕事に従事している当社社員たちに勧めて取らせる内容ではないと考えられました。

 それでも元請け業者から「有資格者」のリストを、と要求されれば大工技能士の資格者の免状をコピーして提出したものです。

 

 一方、当社の「大工工事」に携わっている社員たちが住宅を作ることはありません。

仮にやっても普通の意味での住宅にならないでしょう。技術としては別物なのです。 当社での木造建築の進め方は三次元CAD(当社はAutoCad)を駆使して施工図を書き上げ、細かい材料一本まで加工図を出力して加工担当者に渡します。NC加工機で加工できるものは装置に再入力して加工し、場合によっては加工図に基づき手加工するものもあるという現実があります。 


大工工事業の範疇から乖離し始めた木造建築

 非住宅木造建築は比較的ローカルなマーケットで、地元に担い手となる建設会社があれば、地元産業育成とか、時代が「持続可能な社会」を指向し、そしてその実現には「持続可能な人工林」を用いた木造建築が最適、というような声に押されてその地域では木造建築が進捗するものの、その他の地域では全く進展しないという状況が続きました。

 

 ところが「公共建築木造化推進法」が成立したことで、各地の公共建築は木造化が義務化に近づいたことで、開かれた全国的なマーケットになったと言えるのです。

 そしてオリンピック会場の主な施設で木造が採用されたことで、これまで地方でひっそりと建っていたのが、衆人環視の中で10000m2というような巨大な木造建築が出現するという時代になったのです。

 

専門工事業として新しい職種が必要ではないか

 「大工工事業」は住宅建設のプロの担い手として技術的にも、また後継者育成の観点でも最近こそ問題も出てきましたが、徒弟的に育てる仕組みが一応完結しています。

 材料面でもCLT、LVL、かなり大きな集成材など住宅部材とは全く異なる新しいものが出てきました。そのようなことから、新しい木造建築の新しい担い手として、制度上新しい「職種」が必要なのではないかと考えるに至りました。

 

次回、新しい「職種」について、どのような仕組みにするか私案を述べることにします。

 (代表取締役 佐々木 幸久)