メールマガジン第3号>特集バイオマス

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★【特集】バイオマスについて(3) 代表取締役 佐々木幸久
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10月27日から11月2日にわたる「欧州におけるエネルギー・サスティナブル戦略の視察ツアー」のバイオマスなど自然エネルギーについて、これから3、4回にわたって本シリーズ内でレポートしていくことにします。 

エネルギー自立への覚悟

  • 寒くてエネルギーが無ければ凍死する恐れがある
  • しかも大陸の中で、多くの国と国境を接しており、様々な紛争や大国の思惑でエネルギー供給が絶たれる可能性があり、かつてそのような経験がある

このような中で、国民の生活を守るために、国家・国民にその覚悟があるように思えました。様々な事例を見ていて、次のような考え方でないかと思われます。

  1. エネルギー消費を抑えるために、とことん努力する        
  2. エネルギーとして使えるものは工夫して何でも使う
  3. これらをなるべく合理的に、効率的に使うために知恵を絞る
  4. 自然エネルギーは小規模分散で

 

省エネの徹底ぶり

<オーストリア第2の都市グラーツ市ヴェッツェルスドルフ地区にて>

建築の際の省エネの徹底ぶりには驚きました。CLTを使用した建築中の現場を見学しました。その際CLT外壁に取り付けられた断熱材は、驚くほど厚くて、30cmくらいはあったのではないかと思われました。

構造体であるCLTの外壁に取り付けられた断熱材(鉱物系)
構造体であるCLTの外壁に取り付けられた断熱材(鉱物系)

 

<オーストリアの最も西側の州フォアアールベルク州山間部の村にて>

壁厚36cm、二重ルーフなど、うまく日照を活用すれば、積雪1.5mという地域で、地熱利用と空気循環のみで暖房が可能とのことでした。

町役場庁舎内(眼下の渓谷が美しい)
町役場庁舎内(眼下の渓谷が美しい)
庁舎内に幼稚園も
庁舎内に幼稚園も

 

多様なエネルギー的活用

視察した多くの建築物では、徹底して省エネに配意した建築を作り、その上で太陽熱やバイオマス熱源などの利用を図っていました。

最近の我が国での発電ブームと引き比べて興味深かったのは、木質資源を発電のみに使うケースは、優遇策FIT制度から外されることもあって皆無であるということです。

発電は必ず給熱と並行して行わなければならず、発電の比率が一定を超えると優遇制度から外れる、というシステムになっているようです。

このようなことから、木質資源が複合的であれ、発電に使用される比率は極めて低いことは、注目すべき事です。

 

<有名なギュッシング村にて> 

小規模なエネルギーセンター 熱供給専門

太陽熱温水装置+木質チップボイラー+貯湯タンク(バッファタンク)

夏場は太陽熱のみでほぼ供給可能 

南面に集熱板。この建屋の中にチップ置き場、ボイラー、貯湯タンクがある
南面に集熱板。この建屋の中にチップ置き場、ボイラー、貯湯タンクがある
出資者の森林所有者が出資比率に応じてチップ用の木材を提供。1年林地で乾燥後、移動式チッパーでチップにする
出資者の森林所有者が出資比率に応じてチップ用の木材を提供。1年林地で乾燥後、移動式チッパーでチップにする

次回はもう少し大きな、発電機能も併せ持つエネルギーセンター、バイオガス
生産施設、それを利用した発電など紹介します。
実に奥深いヨーロッパの自然エネルギー戦略です。

(代表取締役 佐々木幸久)