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★きもつき木材高次加工センターニュース
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先月のメルマガでは、くず焚きボイラーを導入するまでの当時の状況についてご説明しましたが、設備導入にあたって、燃料の確保・輸送やボイラーの選定、関連法規や助成制度など、事前に検討すべき事項が多く存在しています。
そこで、木質バイオマスボイラーの計画段階から設置に至る一連の過程において、検討、または留意すべき事項を今回、概略整理してみました
1.燃料製造工場と輸送経路の確認(利用施設との位置関係)
当センターにおいては、隣接する山佐木材(株)の製材工場、集成材工場が稼働していることから、トラックによる運搬ではなく、空走、あるいはフォークリフトによる運搬方法が検討されました。
当初は、木くず焚きボイラー設置場所は木材自動乾燥室が並ぶ場所の隣接地を計画しましたが、燃料のひとつ原木皮屑の発生場所であるリングバーカーの近くに設置した方が、運搬の手間を格段に省けるということで、熱を利用する木材乾燥機から200mほど離れた場所に決定しました。
一般的に近隣の加工工場から燃料調達が可能であれば、輸送コストを抑えることができるため、その有無を調べることが先決であります。トラック運搬では、大型車両の方が輸送コストを削減できますが、車両の大きさに合わせた搬入口の確保が必要となり、輸送経路の道幅にあわせて通行可能かどうかを確認する必要があります。
2.燃料消費量の把握
バイオマスボイラーを設置する前までの燃料消費量をまず把握する必要があります。その量をエネルギーに換算すると、同量のエネルギーを持つ木質バイオマスの必要量を計算することができます。
また、1日の時間帯別や、夏季・冬季、平日・土日など、実際の利用熱量の増減の特徴を十分に考慮することも重要です。
上記のように、年間75万ℓのA重油を消費する場合、既存ボイラーでの供給熱量はA重油の低位発熱量8,874㎉/ℓ、既存ボイラー効率を90%とすると次の通りであります。
8,874㎉/ℓ×750,000ℓ×0.9=5,990×10⁶㎉
上記供給熱量をどのようなバイオマス燃料で代替するか、によって必要な燃料の数量を求めることができます。
たとえば、林地残材 水分50% 2,016㎉
木材チップ 水分45% 2,140㎉
樹皮 水分55% 1,752㎉ 等
燃料を樹皮、ボイラー効率を70%と仮定すると
5,990×10⁶㎉÷1,752㎉÷0.7=4,884,212㎏
したがって、4,884tの樹皮が必要となります。1日約14tです。
現実、燃料1種類ではないので、各種バイオマス燃料の発生状況をしっかり把握しておくことが肝要かと思われます。
3.ボイラー選定
木質バイオマスボイラーは、化石燃料ボイラーと比べてON-OFF(稼働-待機)の切り替えに時間がかかるため、出力を急に上げたり下げたりすることが困難で、低負荷で運転が難しいとされています。
計画している燃料・ボイラーの特性を踏まえ、機器を選定する必要があります。
4.イニシャルコストの把握
木質バイオマスボイラー導入にあたり、大きな課題の一つは設備費です。
当センターでも導入については数年前から検討され、見送られた大きな理由は設備費でした。
ボイラー本体のみならず、ボイラーを設置する建屋、燃料の保管場所、それらと既存施設をつなぐ工事費用など、様々な費用が想定されます。
石油系のボイラーに比べて非常に高価で、負担額の大きさに驚きます。
しかしながら、各種助成制度を利用して負担額を圧縮、現場ではピーク時には既存の石油系ボイラーを補助的に利用するシステムを導入するなど、様々な工夫を行うことにより負担を軽減することができます。
当センターでは、林業・木材産業構造改革事業での助成制度を幸いにも受けることができ、50%の負担で設置することができました。
木質資源利用ボイラー | 1式 | 81,900 |
作業用建物 | 1棟 144㎡ | 19,215 |
原料貯蔵庫 | 1棟 56㎡ | 22,764 |
電気導入施設 | 1式 | 2.625 |
事業費合計 | 126,504千円 |
(蒸気配管工事は含まれておりません)
なお、計画時には下記のとおり、90数%を木くず焚きボイラー稼働、盆・正月そしてボイラー年次検査時のバックアップとして重油ボイラーの稼働を想定した場合の比較表です。
参照していただければわかるように、4年で投資効果が現れます。実際、施設費は減価償却費として計上しますので、経営上大変効果がありました。
5.関連法規調査
木質バイオマスボイラー施設の設置に関しては、関係法令に基づき関係機構へ適切な届出を行って許可を得る必要があります。
建築基準法、大気汚染防止法、ダイオキシン類対策特別措置法、消防法、労働安全衛生法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等々の関連法規があります。
協同組合きもつき木材事業協同組合
専務理事 有馬宏美