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★【稲田顧問・着任挨拶】山佐木材に着任して
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建築の文化・在り様を大きく変える、新鮮な南の風に誘われて、その源流を辿るべく、この4月1日鹿児島県肝属に本社を構える山佐木材に着任しました。当年65歳、7年間務めた福岡大学を3月31日に定年退職して、3つ目の職場であります。どうぞよろしくお願い致します。
現在、我が国は複雑で、対応を誤れば人類の存亡の危機にも繋がり兼ねない大きな問題を抱えております。気候変動の問題は、台風や竜巻の巨大化、異常な温暖化・寒冷化、豪雨や干ばつの発生など、近い将来激甚災害の多発が懸念されています。少子高齢化による地方都市・地域の衰退は、我が国全域にもおよぶ深刻な事態となっています。「地方創成」は国を挙げて取り組む重要課題です。戦後植林された森林が活用期を迎える一方、木材価格の下落等により利用が進まず、国土保全の観点からも森林の多面的機能の低下が懸念されています。
このような事態を解決すべく、今建築業界では非住宅中大規模建物への木材活用に注目が集まっています。柱梁そのものの木造化には必ずしも拘らず適材適所を心掛け、特に資材量の多い床・壁を中心に木質化を進めれば、非常に大きな新規木材需要の拡大が見込まれます。
我々は、4年前そのような意図から、「超高層ビルに木材を使用する研究会」を立ち上げてきましたが、今年遂に我々の提唱する「柱梁S造・床CLT構造」の建物が、一棟着工の運びとなりました。この新しい息吹きをいかにして大きな成果に導くか、今年は正に正念場の一年と言えます。
福岡大学を定年退職するにおよび、この息吹の一翼を担う山佐木材の皆さんのお手伝いが少しでもできればと思い、鹿児島県肝属に馳せ参じた次第です。果たして何ができるかは存じませんが、この心意気に免じて、温かく見守って頂ければ幸いです。
どうぞ、よろしくお願い致します。
(稲田 達夫)
超高層ビルに木材を使用する研究会理事会後の懇親会にて。写真左奥が稲田顧問(4/4鹿児島市)