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★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(34)

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最近 多い問合せ 私も知りたい 誰か教えて下さい

 CLTの告示が施行され、CLTパネル工法として多くの建物が設計され、何件もの問い合わせをいただいています。その中で私も判らず知りたいことがあります。

 それは、準耐火構造の燃え代設計に関することです。

  

 燃え代設計において、合わせ柱・合わせ梁と同様、木材の後貼り燃え代層は、告示では示されておらず許されてはいません。ただダメとも書かれていないのですが、どの物件とは申し上げませんが、接着をしていない合わせ梁の燃え代設計や、後貼りの板材で燃え代設計が、設計者判断・主事判断とは言え、法・政令・告示で認められていないものが、建てられているのはいかがなものでしょうか?

 CLTの燃え代設計においても 後貼りの木材の防火被覆は、NGだと思います。では、一緒に積層接着されたプライは、どうなのでしょう。JASの中には、「美観を目的とした層」の接着の記載がありますが、その厚さや接着剤に関しての記載はありません。

 

 それにより 問合せとは、

「構造・JASに規定された層の外にもう1層、『美観を目的として』一緒に接着された層を燃え代設計として計算が出来るのか?」という内容です。後貼りは、ダメだと思うのですが一緒に積層接着をしていれば 良さそうにも思えるのですが、強度がどうなるのか?という問題が出てきます。告示で示されている基準強度には、美観を目的とした層については、全く触れていません。

 

 問合せに何と答えてよいのか?日本CLT協会に問い合わせてみましたところ、建築研究所のご意見としては「実験をして確かめる必要がある」とのことで、早急にある事業において確認するとのことでしたが、方針が出されるまでは、「物件の進め方は工期と確認審査機関との兼ね合いで決める必要がある」と思われますが、主事さんがOKって言ってくれればですがね・・・

 


CLTも関係あるかも・・・

 木構造の設計にあたっては、防耐火に関しての知識も必要です。

他の構造(S造・RC造等)と違い、構造体が可燃物なので 火災時にも構造体が倒壊などしないようにと、構造体に関して、様々な規定(準耐火・燃え代設計等)が定められており、火災発生時にも安全に避難ができるなどの配慮がなされています。

 一方、構造とは別の観点「避難」からの規定もあり、この規定の中の1点について、もうずいぶん前から頭を悩ましています。

 

それは、内装制限の適用除外として次のような規定があるのですが、

 

ここで明確に 見付面積と記載がされています。では見付とは?と調べてみると

 

正面から見て見える部分が「見付」、

見えない奥行部分を「見込」とする

と定義されていると解釈をしていたのですが・・・

 

 

上の解釈だと 梁の場合には、ラミナの板目面が「見付」、積層面が「見込」と解釈が出来そうです。

そうだとすると、大規模木造の場合、3,000~4,000位の間隔で梁がかけられるので

梁幅210としても 210/3,000<1/10 となり 対象外となりそうですが・・・

 

一方で建築行政会議における質疑において 

 

 見付面積とは、先の見込み部分の面積も加算するようにと・・書かれています。

先の例で逆算すると、3,000の梁間隔では、3,000×1/10-210(梁幅)=90となり、

両面とすると、45mmしか出せないことになります。

 内装制限に関しては、平12建告第1439号に示されるように壁に木を使えるような緩和告示もあり天井面は、燃え広がる事を考えると仕方ないのかな?とも考えるのですが・・

 

 天井面等 仕上材の対応は、相応の仕様材で対応出来るのですが、構造材(集成材・製材・CLT・LVL等)に適応されると対応が難しくなります。一番良いのが、塗装で対応できると良いのですが・・・

 あまり難しく考えず「竿縁は天井材の一部であり、梁は対象外」としてもらえれば一番良いのですが、ただ先に掲載した適用除外の(7)の中には、壁・天井に露出する梁・柱とも明記されています・・明確な答えが欲しい所です。

 CLTの床燃え代設計において 天井側現しの場合、全面木になるので内装制限対象建築物においては、要注意となります。

 


第三のCLTの参考図書 発刊準備中

 

昨年度施行されたCLT関連告示の解説書として、 

・「CLT関連告示等解説書」

・「CLTを用いた建築物設計・施工マニュアル」

の2冊が発刊されており、多くの方が講習会に参加し入手されていると思います。

 

 現在、(一社)日本CLT協会においては、法や告示に示されていない、断熱・耐久性・遮音・施工合理化などの協会内WGで2年間検討を続けてきた内容をとりまとめた「実務者向けCLT解説書」の年度内発刊に向けて準備を開始しています。

 

 CLTの建築においてよく聞かれる、遮音、断熱や標準仕様などについての参考書として期待をしています。

 

また、昨年も開催されましたが、

協会内WGの検討内容の発表を行う「技術報告会」が、平成29年5月30日開催されます。

詳しくは、http://clta.jp/events/4076/を参照下さい。

※定員に達した為申込受付は終了しております。

 

常務取締役技術本部長 塩﨑 征男