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★【社長連載】 Woodistのつぶやき(22)
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CLT建築の告示制定により以来木造建築は多層階の方向へ
前回住友林業と、竹中工務店の壮大な木造超高層ビル計画のプレス発表をご紹介した。
少し遅れて、このほど三菱地所が木造高層建築に関する記者発表を行った。こちらは計画ではなく、着工のニュースである。
2018年3月26日(月)三菱地所プレスリリースより
~日本初、CLTを床材として利用した高層建築物~
「(仮称)泉区高森2丁目プロジェクト」着工
工期短縮・国内の森林資源循環への貢献を目指す
建物規模は前2者発表に比べて小さく、また階数も10階建てといささか地味にも聞こえる。しかし繰り返しになるが計画ではなく、既に着工し今年度中には完成する予定である。後から述べるように、木造の高層建築はこれまで我が国では殆ど無くて、最近始まったばかりである。まさにこれから実現するであろう高層木造建築時代の先駆けを成すものだ。
このプレスリリース資料のなかに、「また、三菱地所株式会社、株式会社三菱地所設計、株式会社竹中工務店、山佐木材株式会社の4社にて取得したCLT床2時間耐火構造の国土交通大臣認定技術を始めて適用した建物です。」と言う一文が添えられている。耐火試験の性能試験、認定申請などの局面で、一貫して当社塩崎常務も関わってきた。
そのような関わりから、この建物の床材と壁材に使う木材、CLTを当社から供給するという大役を戴いた。
平成25年10月「超高層ビルに木材を使用する研究会」を、九州内研究者の方々と発足した。これは趣旨、研究会名共に稲田達夫氏(当時福岡大学教授、現在当社顧問)の考えに基づくものだが、最初名称について外野から随分からかわれたものである。今の流れを見るに付け、氏の慧眼に敬意を表したい。
なお氏は当メルマガで「タツオが行く!」(リンク)を連載中で、実に興味深い物語になっている。
私たちの木造建築(非住宅・中大規模木造)の事業も来年には満30年になる。しかしこれまでは広さやスパンの大きなものが主体で、代表的なものでは木造ドームのようなもの、体育館、学校校舎、あるいは工場、店舗など。面積としては15000m2という広大なもの(愛媛県武道館)もあったが、階数は平屋か2階建てが主だった。
当時事件だった初めての木造3階建て 大分県林業会館
平成7年(1995年)だったか、そのもう一年前だったか、大分県庁から私宛「木造3階建てを検討している」というお電話があったのが騒動の始まりだった。
こちらも初めてのことであり、超大物会長が君臨しておられた施主(大分県森連)様にも不安があり様々な打ち合わせ、調整など、遠い大分市によく通った。当時県庁には剛胆にして才気溢れるあの山田寿夫さんが林野庁から来ておられたときであり、様々な障害や課題解決にエネルギッシュに動かれた。多くの方々の協力もあって、無事完成に至ったときは心底ホッとしたものである。
最近の高層階への木造進展の動きには、法や規格の整備、それに伴う技術革新など有るものと思うが、当時と隔世の感がある。新しい木造建築の時代到来と期待している。
当社CLTによる事例 2階→3階→6階→10階へ
1.福岡県那賀川町「井上ビル」2階 平成29年度完成
2.鹿児島県姶良市「ロイヤルセンチュリー姶良」3階 平成29年度完成
3.高知県高知市「ST柳町I」3階 平成29年度完成
4.佐賀市「松尾建設本社ビル」6階(鉄骨造床木造) 平成30年度完成
そして宮城県仙台市「(仮称)泉区高森2丁目プロジェクト」10階で、平成31年度の完成予定となる。
大型CLT工場が落成する
(株)サイプレス・スナダヤさんのCLT工場落成式に招かれ、3月16日愛媛県西条市の同社工場を訪問した。同社はベイヒバという、まさに土台のために生まれたような木材に早くから着目、永年ベイヒバ土台供給我が国トップというビジネスモデルを構築。ヤマサハウスもお世話になってきている。
細かいいきさつは承知しないが、そのベイヒバの供給が近年急速に減少、殆ど途絶するに至り、材料転換を余儀なくされた。
幸か不幸か元の工場敷地が国道拡張にあい、移転せざるを得ないことになった。地下も高く、買収面積も広大であったことから、下世話な物言いながら土地買収金額も少なからぬものだったろう。
この転換が全く新しい場所に、大規模高性能な製材、集成材工場の新設になった。そして後継者専務の次代を見据えたCLT事業進出ということにもなった。
松山市内に前泊、永年ご交誼戴いているKさん、お嬢さんと一夕楽しく懇談。
翌朝JR列車で松山駅から、タオルで有名な今治駅の少しさき壬生川駅まで。あいにくの雨天だが同社の武田さんがお迎えに来てくれる。
生産体制は根っからの機械好き、とおっしゃる砂田社長が渾身の工夫をされた生産設備であり、間違いの有ろうはずがない。まだCLTのマーケットが成熟していない現段階のマーケティングは、生産技術と併せて建築技術が不可欠であり、これからの同社発展のためにこちらの努力が不可欠であろうかと思うことであった。
私としては当社の作れない大型サイズが作れる工場の出現は有り難い。銘建さんに並ぶ大型工場の出現を祝い、同社益々のご繁昌を祈念するものである。
(代表取締役 佐々木 幸久)