メールマガジン第58号>社長連載

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★【社長連載】 Woodistのつぶやき(25)

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高知県立林業大学校

 平成27年に出来た高知県立林業学校だが、昨年関係者の方から打診があった。平成30年4月に県立林業大学校として開校する。新しく設ける専攻課程は森林管理コース、林業技術コース、木造設計コースの3課程がある。ついてはこの専攻課程で講師を引き受けてくれないかとのご相談だった。

 高知県は県土に占める森林の比率(森林率)が84%で、全国でも最も高いとのことで、早くから林業については特に注力、注目すべき取り組みをしてきた。担当の方から直にお聞きするこれら斬新な取り組みにかねがね敬服していた。 

 

特別教授の名刺を頂戴しました
特別教授の名刺を頂戴しました
初代校長は隈研吾氏
初代校長は隈研吾氏


高知は楽しい

 結局90分授業の2コマをお引き受けした。高知に行くのは楽しい。酒も良い、食べ物も良い。何より人が良い。

 講義資料を作る大変さも忘れて二つ返事で引き受けたのも、一つは何しろ一年先だしどうにかなるだろうといういつもの楽観主義と、もう一つは知り合いの皆さんと楽しく飲めるだろうからである。

 世間が狭いので、大体お会いするのは県庁林業関係の人、そこからつながる人たちである。役所だから規則や基準があるはずだが、空港にも坂本龍馬の名が使われる位だからその気風を慕うこと半端ではない、何しろ誰もが闊達で進取の気風と気概に満ちている。

 明治維新を起こしたのは鹿児島だ。昔、司馬遼太郎が鹿児島市で講演したときに、冒頭「明治維新は薩摩人の血とお金で実現した」と発言した。その後裔たちは先人達の誰を見習ったか、人や自分が作ったルールに埋没して小堅く、新たな問題点を見いだし解決しようとする義務感も、夢を語る楽しさも忘れた人が多い。 

塚本副校長と
塚本副校長と

林業大学校での講義

 引き受けたときは一年先と思っていたが、あっという間にもう講義当日。4つのテーマで話した。一コマ90分で2テーマずつの時間配分である。

1.山佐木材の取り組み事例紹介

2.林業の問題点 儲かる林業へ

3.良い木造建築を作る条件

4.いでよ 林業、木造建築のアントレプレナー

 

 声涸れすることもなく時間配分もそこそこ思い通りに行って、3時間の講義終了。終了後何人かの熱心な質問にも答えて、一応のお役目は果たせたように思えた。しばし安堵感にひたる。

  今回も夜沢山集まって戴いた。とにかく明るく談論風発で、議論の尽きることがない。よく飲みよく食べよく話して楽しい一夜だった。

 

講義室
講義室


駅プラットホームまでお見送りに

 翌朝朝9時過ぎ高知駅発特急列車「南風号」に少し早めに乗り込む。岡山駅で新幹線に乗りかえ鹿児島へ帰るのである。

 携帯が鳴り見ると昨夜一緒だったOさんからである。見送りのため高知駅まで来ているという。列車からプラットホームに降りると、何とOさんとお嬢様がお二人立っておられる。

 Oさんは18年前高知県庁から研修のため山佐木材に派遣され、高山に一年間滞在された。単身であったが途中奥様と当時3、4歳だったかのお嬢さんとが高山まで訪ねてこられた。出発前に会社も訪問して下さったが、別れ際にお嬢さんがお父さんと別れがたくひとしきり泣いた。奥さんも当人も脇を向いて涙を堪えている。あの時の女児であったお嬢さんがまことに美しく成人され、にこにこと「お久しぶりです」。お父さんと連れだって見送りに来てくれたのだ。

 こうして去りがたい気持ちで高知を離れた次第。 

 (代表取締役 佐々木 幸久)