メールマガジン第63号>読者様より

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★【読者様より寄稿】

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平成30年度九州地区森林技術者講習会を開催

(公社)日本技術士会 鹿児島県支部

副支部長 井内祥人

 去る平成30年11月9日(土)午後、標記講習会を鹿児島県歴史資料センター黎明館講堂で開催した。この講習会は、各県持ち回りで、鹿児島県は平成23年度に続き、3回目の開催となった。参加者は約70名で県外40名、県内30数名であった。

 

 講習会を開催するにあたり、県内在住の森林部門技術士16人に呼びかけ講師選定、テーマなどの打ち合わせを行った。テーマ(部門)は、①森林林業、②木材関係、③防災及び④国有林の取り組みの4テーマである。

 その結果、講師は①森林林業は、前鹿児島大学農学部教授:遠藤日雄氏、②木材関係は、佐々木幸久社長、③防災関係は、鹿児島大学農学部教授:地頭薗隆氏、④国有林は、鹿児島森林管理署長、山口輝文氏の4人を選定し、それぞれご快諾を戴いた。以下、佐々木社長のご講演概要のほか他講師の講演内容を記す。

 

① 遠藤日雄氏「新たなステージに入った国産材輸出」

・国産材丸太輸出は九州が独占し、8割強のシェアを持つ。

・その中で、志布志(31%)細島(10%)八代(9%)と南九州で5割を占める。

・中国に輸出された丸太は、フェンス材や2×4に製材され、米国に輸出されている。

・今後も、この傾向は続き、日本としても丸太でなく、製材品輸出に切り換えるべきである。

 

② 佐々木社長「集成材・CLTを活用した大規模木造構造の取り組み」

・山佐木材(株)の事業転換は国の木造規制緩和がきっかけである。

・原木は年間5万立方メートル調達しているが、協定に基づき安定取引を図っている。

・CLTはヨーロッパに20年遅れてスタートしたが、わが国独自の使い方を工夫すべきである。

・木造緩和から更に木造推奨の時代変化に、いかに取り組むかが当社の課題。

・「適正伐採量」と「年間許容伐採量」の観点が、わが国は欠如している。

 

遠藤日雄氏
遠藤日雄氏
佐々木社長
佐々木社長

 

③ 地頭薗隆氏「火山地域における大規模崩壊の予兆と警戒避難対応」

・現在、地下水が関与した大規模崩壊による土砂災害の予測手法を開発中である。

・微地形から深層崩壊が起こる場所を探すには限界がある。

・渓流水から深層崩壊が起こる場所を探す手法を研究中である。

・地下水を活用した土砂災害発生の景観避難対応を垂水市深港地区で実施した。

 

④ 山口輝文氏「奄美大島・徳之島の森林の特徴と当地における森林管理」

・先日、再登録申請がなされた世界自然遺産の概要と推薦地の森林概要

・日本の他の自然遺産地域(知床、白神山地、屋久島、小笠原諸島)の国有林は割合は95%から100%であるのに対し、当地域は64%である。

・当地域の森林管理にかかる課題として、人工林の取り扱い、地域産業との調整、松くい虫被害がある。

 

以上。これまでの他県の講習会と違い充実した講師陣及び内容に、講演後、他県参加者からお褒めの言葉をいただき、大成功であったと自負している。山佐木材の社員の方は、木材産業だけでなく、他の森林分野の情報も得ながら、総合的に森林に関与して欲しいとの思いから投稿させていただいた次第である。

 


 実は、私は御社のメルマガに投稿させていただくのは2回目となる。

 最初の投稿は2004年九州新幹線開業直後である。それ以降、多くの新入社員が入社していると思うので、その時の投稿内容を紹介する。

 結論を言うと、『鹿児島中央駅地下道の木製手すりは、山佐木材製品である。』ということである。

 


 

 この時、私は鹿児島県庁でかごしま木材総括担当の業務を行っていた。夏の暑い日、土木部建築課から突然電話かあり、「中央駅地下道の手すりをステンレスから県産材に変えたい。ついては対応をお願いしたい。」という内容であった。さらに「公共空間に使用するので、BL基準を満たすのが条件である。」ということであった。私は、「スギ中小断面協議会」(現在も存続しているか否か不明)会長の佐々木社長にお電話し、性能試験とかいろいろ大変お世話になった。

 

 当初設計では手すりの上段は大人用手すりでφ45mm、下段は子供用手すりでφ35mmとなっていた。BL基準を満たすのは、材としてはリュキュウマツ集成材となったが、φ35mmでは基準を満たせず、県、市、施工会社、管理会社の4者協議の席上、φ38mmに変更の提案し採用された。あの地下道は、若き薩摩の群像からアミュプラ間は市施工区域、イオン側は県施工区域となっている。そのため、木製手すりの試作品を鹿児島市建築課に持参し、担当者と協議したのは懐かしい思い出となっている。

 

 あれから14年たった。私は地下道を通る時、時々、手すりを撫ぜている。通行人から見ると「変なおじさん」に見えるかもしれない。手すりに愛着があるのである。

山佐木材の社員の皆さんも、地下道を通るときは、たまには手すりを撫ぜてください。

山佐木材の製品が、県内外の人に見守られて、立派に役目を果たしていますよ。

 (井内)