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★さつま郷句作品抄   渋柿会鹿屋支部
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 題:春(はい)

 

青字は読み方です。声に出して読んでみましょう。

分からない方は近くの鹿児島出身者に読んでもらいましょう!

鬘をば   春一番が    毟り取っ

かつらをば はいいちばんが むしいとっ

唱 待てち追掛くい 鼻先く転っ

  まてちうかくい はなさきまくっ

蔵ノ下 夢石

 

【解説】強い春一番の風に、他人には秘密にしている鬘(かつら)が吹き飛んでしまい、急いで拾おうとしたが、歩道の通行人の方へ転がり飛んで大慌て。風に毟り取られたという表現が巧みで思わず笑ってしまいます。

 

娑婆は春   年齢どん言なち 婆も化粧っ

しゃばははい としどんゆなち ばもなすっ

唱 傍目もわっぜ  健し婆さま

  はためもわっぜ さかしばばさま

  今釜 三岳

 

【解説】今は春。昔と違って加齢と共に服装も派手なこの頃。訝しがる家族に浪速熟女のパワーを感じます。豹柄の服が想像される愉快な句です。

 

巣立っ春ゆ 喜くっみたい  泣っみたい

すだっはゆ よろくっみたい ねっみたい

唱 祝と別れが   両方ごわんで

  ゆえとわかれが まんぼごわんで

上籠 若菜

 

【解説】春は卒業、進学、就職など色々と喜びや祝いごとがある反面、さびしい別れなどが混在しています。悲喜こもごもの心情をうまくとらえた句だと思います。

 

★解説は渋柿会鹿屋支部の有川様にいただきました。