・所在地:高知県香美市物部町
・完 成:2000年11月
・発注者:高知県
・設 計:社団法人高知山林協会様
・施 工:山佐木材(株)
・タイプ:方杖ラーメン橋
・橋長:29m、支間長:28m、幅員:5m
・用途/設計荷重:車道橋/25トン
・集成材:杉通直材201.55m3
この木橋は、名水と新緑・紅葉の名所として名高い、別府峡と西熊渓谷をつなぐ林道の一部に架けられたものです。全長29m、幅員5m、橋の下を流れる槙川からの高さが13mという壮大なもので、強度は農林水産省の林道規制に合わせ25トン荷重となっています。
当時の施策『国産材活用と木造橋の推進』により、橋の材料はすべて物部産の杉を使用、約600m3を山から切り出して地域振興にも大きく寄与しました。
「奥ものべ紅香橋」の計画にあたっては、3回の委員会が開催され、構造的な安全性だけでなく、耐久性とコストダウンについても話し合いがもたれ、それにより新しいいくつかの試みが盛り込まれました。
5月16日、日本で初めて木橋の木タボ接合とピン接合の実験を行いました。実験の結果、設計強度をクリアし、ピンについては試験機の最高能力でもびくともせず、非常に丈夫な構造であることが証明されました。
現場架設は9月25日から始めました。国道から現場までは、途中で林道が狭くなったりカーブの曲がりがきついので、4トントラックでの横持ち運搬になりました。また現場に組み立てヤードの確保が難しいのと交通止めが出来ないので、方杖は工場で組み立てて運搬することにしたところ、現場作業が早くなり正解でした。
今回の現場で特に困難が予想されたのと正確さが要求されたのは、ピンの挿入と方杖と主桁の接合、木タボの錐穴の正確な加工、そして現場での接合作業の迅速さでした。この4点については今後につなげる課題を残しながらも、案ずるより産むがやすしでした。(神田 稔)
【当時の現場日記「ものべ通信」より抜粋】