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★【稲田顧問】タツオが行く!(第74話)
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「これまでのタツオが行く!」(リンク)
74.地球温暖化CO2起源説の懐疑論
前回まで、「地球環境問題」特に「温暖化・気候変動」の問題について最近の状況を述べた。20年ほど前、環境問題をテーマとして活動を始めた頃、地球温暖化は現在ほどには社会的認知が得られておらず、地球温暖化CO2起源説は間違いだという「懐疑論」を投げかけられることが多かった。言うまでもないことであるが、自分の取り組んでいるテーマに何か大きな間違いがあるのではないかということは、常に懸念を持ちながら研究活動を進めているものである。地球温暖化CO2起源説についてそれが本当かということについても、いつも一抹の不安を抱いていたものである。
例えば、その当時の気象庁のホームページには「地球温暖化CO2起源説に対する懐疑論」が掲載されていた。それによれば、以下のような記述があったと記憶している。
1)データそのものへの疑念
・ノーベル平和賞を受賞したIPCC第4次報告書にデータの誤り、あるいは改ざんが発覚したことにより、
温暖化CO2起源説そのものに疑念がもたれるようになった。
2)CO2濃度上昇は温暖化の結果とする説
・海水にはCO2が溶け込んでいるが、最も多くのCO2が溶け込むのは4゜Cの時である。4゜C以上になると、
溶け込んでいたCO2は海水から徐々に放散される。それに伴い地球の温度が上昇すると地上のCO2濃度
も上昇する。
3)地球の寒冷期と温暖期の繰り返しの一部に過ぎないという説
・太古の昔より地球は温暖期と寒冷期を一定の周期で繰り返して来た。現在の温暖化はたまたま地球が
温暖期に差し掛かっているに過ぎないとする説。②の説と組み合わせれば、CO2の濃度上昇も比較的
簡単に説明できる。
4)様々な陰謀論
・温暖化は欧米などの国々が自国の優位性を保ち、利益を拡大するために考え出した陰謀とする説。例え
ば、原発産業の陰謀とする説などがある。
・最近の事例で言えば、EVへの転換の流れは、エンジンの技術に優れた日本車を排除するための陰謀とす
る説、などがある。
これら懐疑論に対し、勿論ある程度は反論することもできる。
2)と3)については、少なくとも産業革命以降、それまで280ppm前後で推移していたCO2濃度が、温暖期と寒冷期の繰り返しのレベルをはるかに超えて急激に上昇しつつあるという事実が確認されている。このことは温暖期の気温の上昇に伴ってCO2濃度が上昇したというだけでは説明がつかない。
陰謀論についても、仮に各国の利益誘導はあるとしても、それは温暖化という事実を利用した利益誘導という見方もできる。少なくとの温暖化の進行を否定するものでは無いように思うがどうだろうか。
地球全体の人口が急増する中、資源には限りがあるという現実がある。省エネや再生可能エネルギーの活用を図ることにより、将来のエネルギーの不足に対処すること自体は、人類の持続可能な発展のために、有益なことは間違い無いと思うがどうだろうか。
(稲田 達夫)