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★部室長からのメッセージ 製造部 部長 笹原利文
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平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
弊社としての令和3年度が約二カ月経過しようとしている中、新聞・テレビ等で報道されている、「ウッドショック」と呼ばれる木材の価格高騰による影響が各方面に広がりを見せています。永年ご愛顧いただいているお客様にはご心配おかけしておりますが、できるだけ影響を出さないよう改めて調整させて頂きながら、生産活動に日々従事しています。
今の状態がもう暫く続くとは思いますが、原木を安定的に供給して頂いております森林組合様、素材生産業者様と共に知恵を出しながら連携して、またお客様のご要望に応えるべく本年も取り組んで参りたいと考えております。
アメリカ発 ウッドショック
周知のとおり、"ウッドショック"は、短期間で急激に木材が不足して、木材価格が高騰することを言います。このようなウッドショックと言われた現象は過去にもありましたが、今回の原因はアメリカの事情にあります。
2020年春から広がったコロナウィルスによるパンデミックにより、在宅勤務・リモートワークなどが急速に普及し、巣ごもり需要が急拡大しました。その結果アメリカ国内の住宅需要は右肩上がり増加し、建築資材のバランスが崩れ、価格高騰に歯止めがかからない状況に陥ったと聞いております。
さらには、中国経済の復興が著しいこと、スエズ運河事故等によりコンテナ不足や貨物船の減便も重なって、木材の供給網の変化・停滞を余儀なくされたようです。
(林野庁資料より抜粋)
日本の住宅建築に使用される木材の多くは輸入に頼っている現状にあります。林野庁資料によれば、木材自給率は40%に届かず、残りの60%は輸入材に依存しています。中でも建築用木材の多くが北米と欧州からの輸入に依存しています。
その上、世界各国が木材を奪い合う中で日本が木材を買い負けている状況にあり、昨年あったマスク不足のような木材不足への危機感が価格をさらに押し上げているのではないかと推測しています。
(林野庁資料より抜粋)
2021年に入り、コロナショックで落ち込んだ住宅着工がようやく回復してきた矢先に、水を差された格好です。住宅業界では樹種を国産材に変更するなど対応を考えているようですが、限界があります。
今回のウッドショックを受けて国産材を増産しようにもそう簡単にできるわけではなく、国産材の生産力向上のためには、設備拡充、人手確保など資金と時間を要することではないでしょうか。
また、住宅メーカー各社が定めている仕様性能について輸入材と国産材では同じではないため、お客様の納得なくして樹種を変更してすぐに代替できるという訳でもないと思います。
このように観ますと、これまでの業界のサプライチェーンが抱える弱点を浮き彫りにし、また国産材供給体制の脆弱さが顕在化した格好となりました。
これは、今後このような経験を活かして、住宅業界、木材業界共々、木材の安定的な流通・生産体制を再構築することが急がれ、様々な課題解決のための具体策検討・実施が肝要となっています。
正しくウッドショックなのか、ウッドチャンスなのか、直面した私共が問われているのかもしれません。
(製造部 部長 笹原利文)