M田のぶらり旅・新緑とせせらぎ 孤独の温泉「滝の湯」

第28回 姶良市蒲生 「新緑とせせらぎ 孤独の温泉 『滝の湯』」 

 早くも4月半ばである。華やかな桜前線は、鹿児島にすこしのあいだ花冷えを残して北へ行ってしまった。照葉樹の森は、若葉がもこもこと湧くように樹冠をふくらませ、山肌がこそばゆくなって笑っているように見える。この季節に山沿いの道を、車の窓を開けて走るのは実に気持ちがよい。風も薫るのだ。行先に温泉があればさらに楽しみは増していく。

 

 蒲生は姶良市の北側に位置し、薩摩川内市祁答院町に接する山あいの町である。「カモウ」と読む。が、私より年配の方々のさつま語では「カモ」と短く発音する。たとえば、「蒲生の町」は「カモン 」となるのである。そこはさて置き、蒲生郷について、司馬遼太郎『街道をゆく三 肥薩の道』に興味深い話題が記載されているので、そちらを参考に、この町の歴史などを探訪されるのも面白いかもしれない。 

 町の中央に位置する八幡神社境内には、樹齢約1600年、根回り33.5m、目通り幹囲24.2m、高さ約30mという日本一の巨樹として認定されている大楠が祀られている。新緑の巨木も見どころではあるが、今日は先へのドライブを楽しもう。

 

 

 大楠を右手に過ぎて4kmほど、県道211号線を薩摩川内市方向に進むと左手に「滝の湯」の看板が小ぢんまりと立っている。2、3台停まれるほどの広さの駐車場の奥に湯屋が立っている。

 

 

 庭はよく手入れされていて、楓の若葉の向こうには芝桜の一面の花が目に染みる。

 入浴に予約はいらないようだ。先客がなければ、湯屋のドア横に掛かっている料金箱に一人分200円入れて入るシステムである。湯守の姿はないし、もちろん番台もない。入浴に来た人の良心に任せる寛容さがCooooL! ただ、不届きものがいるようで、箱に「監視カメラ設置」の表示がしてあるのが、少し残念ではある。

 湯屋に入ると、2畳ほどの脱衣室があり、その奥が浴室になっている。 

 

 

 ゆっくり二人が浸かれる広さの湯舟にはかけ流しで満たされた淡い褐色の温泉。窓の外は初夏の渓谷の風景が広がっており、静かにせせらぎが流れている。渓流からは、遠くカジカガエルの澄んだ声が聞こえてくる。お湯の温度はややぬるめだから、ゆっくりはいるにはちょうど良い。

体が十分温まったら、川風に吹かれるのも、初夏の入浴ならではの快さだろう。渓流の名は「前郷川」。杉林と照葉樹林から吹いてくる風は格別だ。あせも静かにひいていく。

 こんこんと注がれるお湯と、森とせせらぎ、カジカガエルの鳴き声。豊かなひと時を過ごすことができる温泉がここにもありました。こんな孤独の温泉がいつまでも残ってくれるよう願うばかりです。

 

 「滝の湯」から南東に5km、町をとおりすぎたあたりに「フォンタナの丘かもう」がある。ここは、ホテル、レストラン、温泉そして産直市場を擁する複合施設で、14年前に弊社にて、納材と木工事を担当させていただいた大規模な建物である。外観と、特産市場の内観をご覧いただければありがたい。

 

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滝の湯:姶良市蒲生町白男1477

    24時間営業

    ※教えてくださった方:T.S様

参考:産直交流拠点「フォンタナの丘かもう」HP

  :司馬遼太郎著 朝日新聞社『街道をゆく三 肥薩の道』

 

(M田)

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コメント: 5
  • #1

    けんぞう (木曜日, 08 5月 2025 21:25)

    清流の歌姫の美しい声を聴きながらの温泉良いですね♪鹿児島には良い温泉が結構あるんですね。普段は何気なく通り過ぎてしまっているのかも。�

  • #2

    しかまゆきこ (木曜日, 08 5月 2025 21:43)

    今日は鹿児島産のラッキョウを見かけて、つい買ってしまって、1個1個皮を剥きながら、ふるさとを想っていたところです。
    風薫る季節に、川風に吹かれながらの温泉とは!想像するだけでも、くーっ、たまらない!今度行きたいところのリストにまた1行増えました。

  • #3

    しよう (日曜日, 11 5月 2025 10:43)

    故郷を離れて50年。
    このブログを読む度に、知らない場所なのに不思議と懐かしい気持ちになります。
    温泉もさることながら、特産市場の品揃えもどんなものがあるのだろうと興味を惹かれます。

  • #4

    徳田 新之助 (火曜日, 20 5月 2025 07:56)

    滝の湯、熱い湯が苦手な自分にはかなり快適な温度で好きなところです。
    夏に最適なんですが、、、季節柄虫との混浴となることが多くもっぱら冬に足を運びます(^^♪

    フォンタナの丘かもうは通過するだけでまだ行ったことがないため、行ってみたいですね。

  • #5

    徳田 新之助 (火曜日, 20 5月 2025 08:07)

    上市園さんの記事を見てはそのきれいな仕上がりに「どこも素晴らしい」と感動し、「タツオがゆく!」の記事をみてはその専門性の高さゆえ、すごさの大半が理解できない自分の頭のよわさを再認識、最後疲れた脳にM田さんの記事にほっと和ませていただいて、、、いつもありがとうございます♪