メールマガジン第125号>稲田顧問

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★【稲田顧問】タツオが行く!(第81話)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「これまでのタツオが行く!」(リンク

81.大阪万博

 

 5月27日から28日の二日間、妻と連れ立って大阪万博会場を訪問した。

 一日目、27日の朝6:00、新横浜駅始発の東海道新幹線「ひかり533号」で新大阪に向かう。8:13に新大阪駅に到着すると、地下鉄御堂筋線で本町へ、本町でホテルに荷物を預けたあと、地下鉄中央線に乗車して一路万博会場のある夢洲へと向かう。

 夢洲駅に到着したのは9:40、そこから人の流れに乗って万博会場の東ゲートに向かい、10:00入場予約のレーンに並ぶ。結局万博会場に入場できたのは10:30頃であった。 

(1)リング

 万博会場に入場すると、まず最初に世界最大の木造建築と言われる「リング」を歩いてみることにする。リングを見た第一印象としては、建築というよりは巨大な土木構造物である。似たような構造物という意味では、かつて北京で見た「万里の長城」にも少し似ているように思うが、僕にとっては結構立派な「登山道」のようにも感じられる。

 リングの一周は約2kmだが、上段と下段があるので、リングを制覇するには少なくとも2周する必要があり、1時間以上は歩く必要がある。もっとも午前中は特に予約したパビリオンもなく、天候も曇りと恰好のハイキング日和であったので、のんびりリングを歩きながら、万博会場の全貌を確認することにする。

 

 国会の質疑で、ある代議士が「あのような巨大なものを作って一体何の役に立つのか。」という質問したのに対し、万博担当大臣が「夏の日差しの強い時は日傘になる」と答えたことがニュースになった。質問者も回答者も全く想像力に欠ける実に残念な発言と言わざるを得ない。もっとも、このリングの良さは、実際に見てみないとわからないのかもしれない。

 例えばリングが「何の役に立つのかと」と言えば、福岡市の都市高速環状線にも似た役割を担っていることに気が付く。リングの一階は車が自由に走り廻ることができる。夜、体調を崩した人が出たのだと思うが、救急車がリングに飛び込んで来る。救急車は暫くリングの下を走ると、多分救護者のいるあたりでリングの内側に飛び込む。救護者を救助した救急車は来た道を辿り、会場の外に出て行ったのである。

 万博会場は毎日約15万人の人々が来場する言わば大都会である。大都会には効率の良い優れた交通システムが必要であるが、リングはその役割を担っているのだと思う。万博会場は終了後、IRを誘致する予定と聞いたが、IRも都市計画的視点は重要なはずである。是非リングを今のままで保存して、IRの計画で活用してもらえれば良いのではないかと思った次第である。

 いずれにせよ、リングを見るだけでも十分万博会場に行く価値はあると思う。

 


(2)ポーランド館

 ポーランド館は山佐木材が建設を担当したパビリオンである。ポーランド人の若手建築家の設計とのことで、木材を使った複雑な外装が異彩を放っている。是非見学したいと思い、1日目の第一希望で予約を入れておいたのであるが残念ながら外れてしまった。当日の自由入場も試みたが、自由入場のレーンは長蛇となっており他の予約との関係もあり、入場は諦めざるを得なかった。

 それで、パビリオンへの入場の代わりに併設のレストランに入ることにした。レストランは待つこと約15分ほどで無事席に着くことができた。牛肉煮込みと洋風の餃子にパンとスープが付いたセット料理を注文する。一人4900円と少し高い気もしたが、5月27日は我々夫婦の結婚記念日であるので、この程度の出費は気にしないことにし、ポーランド料理を堪能することにした。いずれにせよ取り敢えず昼食にありつけて少しほっとした次第である。

 


(3)関西パビリオン

 「関西パビリオン」は一日目の第4希望で予約を入れておいて、なんとか当選を果たしたパビリオンである。

 四角形の白いテントのような比較的小さな建物の中に関西の8つの県(福井県、三重県、滋賀県、京都府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県)の展示がある。中でも朝のテレビ等で話題となっていたのが、鳥取砂丘の砂10tonを持ち込んで、広大な砂丘を再現したという鳥取県の展示である。小さな部屋を、鏡を巧みに配置して大きく見せる仕掛けが面白い。映像をうまく使って砂浜に押し寄せる波を表現するなど、随所に工夫が見られて楽しめる。

 その他、福井県の恐竜、京都府の京料理、兵庫県の日本酒などそれぞれに工夫を凝らした展示を見ているうちに、あっという間に2時間が経ってしまった。

 

(4)フランス館など

 予約なし、先着順自由入場のみのパビリオンも結構多い。その中でも人気のありそうなアメリカ館をトライしてみるが、案の定長蛇の列ができている。待ち時間を聞くと90分とのこと。次の見学先のことも考えて、アメリカ館の入場は断念する。

 アメリカ館の直ぐ隣に同じような行列ができているので、最後尾に行って聞いてみるとフランス館とのことである。フランス館の行列はアメリカ館より長いように見えたが、係の人に聞いてみると、15分程度で入場可能とのこと。早速行列に加わってフランス館を見てみることにする。

 フランス館のように予約を取らず自由入場で比較的簡単に入れるパビリオンとしては、例えば、マレーシアパビリオン、インドパビリオンなどがある。他に「コモンズ」と呼ばれる単独ではパビリオンを出せないアフリカ等の小さな国々を集めたパビリオンがあるが、国名と国の位置がわかる地図が併記されており、万博らしさが楽しめる展示である。

 

(5)水と空気のスペクタクルショー

 そうこうしている内に、夕暮れ時を迎える。19:30と20:30からの2回、「水と空気のスペクタクルショー」と題する噴水のショーがある。特設の観覧席があり、勿論予約を申し込んだのであるが、残念ながら落選、17:30からのショーをリングの中段からのぞき込むことにする。

 巧みな噴水と照明の仕掛けがよくわかり、充分楽しめたが、20:30からもう一度今度は特設の観覧席の後ろ側から見てみることにした。そうするとリングの上からはよく分からなかった中央の門型のスクリーンに映し出されるプロジェクションマップが実によくできており、二度にわたり噴水のショーを新鮮な気分で楽しむことができた。

 噴水のショーを見た後帰路に付くが、これは覚悟していたことではあるが凄い人数が東ゲートに殺到しなかなか地下鉄に乗ることができない。本町のホテルに着いた時には夜の10時を過ぎていた。

 翌28日、8:15に本町のホテルを出発、8:30には夢洲駅に到着したが、9:00入場のレーンは既に長蛇の列である。入場できたのは10:00近くとなっていた。

(6)命の未来

 二日目は第1希望で予約したシグネチャーゾーンのパビリオン「命の未来」がみごとに当選していたので、早速に目的のパビリオンに向かう。大阪大学教授の石黒浩氏の企画とのことで、「50年後の生活、1000年後のいのちの姿。様々なロボットやアンドロイドとの出会い」と題した今回の万博の人気パビリオンの一つである。このパビリオンを第一希望で予約した理由は、朝のテレビ番組で「マツコのアンドロイド」に出会えるとの情報を聞いていたからである。

 限りなく人間に近い動作をするアンドロイドに出会った後、最後にいよいよマツコに出会う。体形も語り口もマツコそのものである。もし電車の中で会ったとしたら本物だと思うに違いない見事な出来栄えである

 その後コモンズや、いくつかの先着自由入場のパビリオンを見学した後、帰りの新幹線に乗り遅れてはいけないので、17:30頃に帰路に付く。途中本町のホテルで荷物をピックアップし、19:00時頃新大阪の駅に辿り着く。新大阪の駅では「ぼてじゅう」に入りお好み焼きとビールを注文する。2日ぶりに飲んだビールは実においしかったものである。

 新大阪21:00発の「のぞみ号」に乗り、新横浜に向かう。その日、家に着いた時には既に23:30を過ぎていたが、実に充実して永く感じた二日間であった。

 

(稲田 達夫)