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★【稲田顧問】タツオが行く!(第85話)
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「これまでのタツオが行く!」(リンク)
85.立山黒部アルペンルートと「ホテル立山」
9月23日から25日にかけて、中部山岳国立公園に位置する「立山黒部アルペンルート」を、妻と2人で訪問した。妻とは結婚直後にもアルペンルート挑戦の計画を立てていたのであるが、訳があり断念した経緯がある。その時は、秋葉原の登山用品店「ニッピン」でトレッキングシューズ等を買いそろえた記憶があるから、かなり本気で計画していたことは間違いがない。その後、何度かトライしようとしたのであるが、日程上の都合や費用の問題もあり断念せざるを得なかった。それが今年の3月、たまたま立山室堂平の「ホテル立山」を楽天ツアーズのサイトで見ていたところ、空室があるのをみつけたので取り敢えず予約を入れて、永年の懸案の旅を実行に移すことにしたのである。
昔から立山黒部アルペンルートに拘ったのには訳があった。私の母方の叔父がアルペンルートの開発に深く関わっていたからである。私の叔父は半年に一度程度、突然ぶらっと我家に立ち寄るのが常であった。そして我が家に来ると、「子供でも老人でも、誰でもが無理なく立山連峰の絶景ポイントである「室堂平」まで行くことができるルートの開発」の話を熱く語っていた。そして、誰でもが快適に滞在できるように、標高2400mの室堂平に高級ホテルを建設するのだと言う。
叔父は立山を深く愛した人で、「富山市からの立山連峰の眺めは、世界で最も美しい」とか、「アルペンルートを開発すれば、世界一の山岳リゾートになる」というのが口癖であったが、母は、「そんなこと本当にできるんかいな」とやや批判的であった。叔父は北陸電力に勤めた真面目な会社員であったが、突然退職してアルペンルートの開発プロジェクトに参画するようになった。叔父は元来大変穏やかな人で、話好きでもあり、立山の話は何度聞いても子供ながらに面白く、大変に魅力的であったのを覚えている。
今回現地を訪れてみて、改めて分かったことであるが、アルペンルートは山岳リゾートとして新たに開発されたという訳ではなく、そのルートのかなりの部分は、黒部第四発電所ダム(黒ヨンダム)の建設のために開発された工事用のトンネルやケーブル等を観光用に再整備してできたルートである。150人以上の殉職者を出した世紀の難工事の遺産を現代に引き継いだ再開発プロジェクトということになるが、立山の自然を守るため、アルペンルートの区間は自家用車の利用はご法度であり、バスも電気バス(昔はトロリーバス)とハイブリッドバスのみで、後はケーブルカーとロープウェイのみが使われている。
その山岳リゾートの中核をなすのが「ホテル立山」であった。ホテル建設の話は小学校の頃から何度も聞いていた話であったが、そのホテルは私の大学時代に遂に完成したのである。独身時代三菱地所の仲間数人でアルペンルートを訪問したおりに宿泊した記憶がある。
さて今回の行程であるが、9月23日7時20分東京駅発の北陸新幹線「かがやき503号」で長野駅へと向かう。長野駅からは高速バスに乗車して約1時間30分、アルペンルートの長野県側の起点である扇沢駅に10時45分に到着した。
扇沢からは電気バスに乗ること約15分、今回のツアーの最初の訪問地である黒ヨンダムに到着する。昔の記憶を辿るとダムの上の平らな所を15分程度ゆっくり歩くだけと思っていたのであるが、今日では様々な見学ルートが整備されており、多様な角度からダムを鑑賞することができる。但しその為には200段を超える階段を何度か上り下りする必要があるが、時間的にも余裕もあったのでそれらを全て踏破することにした。結果としては結構過酷なコースであり、かなり疲れ果ててしまった。
黒ヨンからはケーブルカーで黒部平に、そこでロープウェイに乗り換えて大観峰へと向かう。大観峰で後ろ立山連峰の壮大な眺めを鑑賞した後、電気バスに乗り継いでトンネルをくぐり、初日の目的地である室堂平のホテル立山に到着した。時間は丁度午後3時であった。ホテルの周りを少し散策した後、午後4時30分からホテル主催の室堂平散策ツアーに参加する。天候は曇りであったが、何とか立山連峰の主峰「御山」を眺めることができ、また運よくライチョウにも出会うことができた。案内をして下さったホテルの方の説明では、室堂平は標高2400mの高地であるにも関わらず広大な平原が広がっているという点で、極めて珍しい地形なのだそうである。
室堂平から標高3000mの立山連峰主峰「御山」山頂までは2時間程度とのことであるが、途中には雪渓(最近氷河に認定されたそうである)もあり、厳しい登山コースとのことであった。ホテルに戻りレストランで夕食の後、午後8時30分からやはりホテル主催の星空観賞ツアーに参加する。雲が少なく天の川を見ることができ、満天の星空をのんびり眺めながら充実した1日のことを振り返った。
9月23日天候曇り、黒部第4発電所ダムの観光放水を鑑賞する。40年以上前に訪れた時はこんな充実した鑑賞ルートは無かったはずなのだが


翌日9月24日は幸運にも快晴であった。早速朝食前の散策に出かけると、主峰「御山」越しに「ご来光」を拝むことができた。ホテルの展望台からの眺めは、叔父がいつも語っていたように正に絶景そのものであった。
朝食後、ホテルを出発し室堂平の景勝地「みくりが池」を一周する約1時間のハイキングコースに挑戦することにした。夏休み中、みくりが池を熊が泳いでいたことがニュースになっていたので、熊よけの鈴を買って出かけることにした。結果としては熊に出会うこともなく、久しぶりのハイキングを堪能できたのである。
その後、電気バスに乗りやはり立山有数の景勝地である「弥陀ヶ原」で途中下車し散策を楽しんだ後、美女平でケーブルカーに乗り換えアルペンルートの富山側の起点である立山駅に到着する。立山駅からは富山地方鉄道に乗り継いで、2日目の最後の訪問地である宇奈月温泉へと向かったのである。




3日目の9月25日は、やはり黒部ダム建設のために開発された宇奈月温泉のトロッコ電車に乗って、黒部峡谷の自然を堪能する。その後富山地方鉄道で富山市に向かい海の幸等を堪能した後、北陸新幹線で東京に戻った。横浜の家に着いたのは午後11時過ぎであった。
(稲田 達夫)
